研究課題/領域番号 |
22K19715
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
金村 尚彦 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (20379895)
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研究分担者 |
国分 貴徳 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (10616395)
村田 健児 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教 (30792056)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 光遺伝学的手法 / 末梢神経損傷 / 運動療法 / 神経可塑性 |
研究実績の概要 |
末梢神経は,損傷後に高い自己再生能を有するが,完全な神経機能を回復することは稀であり,革新的な再生方法の開発が求められている.基礎的研究において,運動や電気刺激など神経活動依存的治療は,軸索再生や機能回復を促進することが報告されているが,しかし臨床場面における末梢神経損傷者へのリハビリテーション介入は筋萎縮や関節拘縮など二次的障害を目的としているため,軸索再生を促進し得るか否か,現時点でコンセンサスを得るまでに至っていない. 本研究の初年度では,実験動物モデルに対し,坐骨神経損傷モデルを作成し,運動により損傷した神経軸索が再生するかどうかについて検証を行った。坐骨神経損傷後,3日よりトレッドミル運動介入を行った。運動介入2週,4週間経過した後,坐骨神経を採取し,凍結切片を作成した。その後, 蛍光免疫組織化学染色法により, 以下の陽性神経の軸索伸長関連因子の発現について比較した。神経再生時に新生神経に陽性を示す一次抗体Growth Associated Protein 43 (GAP43)について,神経横断切片像の全体に対し陽性神経の面積比を算出した。GAP43は,神経損傷部に多く観察され,2週経過後sham群と比較して,損傷群は1.1倍,損傷+運動群は1.3倍の発現量であった。4週経過後sham群と比較しては,損傷群は0.7倍,損傷+運動群は0.9倍の発現量であった。トレッドミル運動により,運動介入後2週間において新生神経の割合が増加することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は, 坐骨神経損傷モデル動物に対する運動介入について, 分析を行った。 本研究で使用するウイスルベクターの作成について,選定を行っているが,より適切なベクターが遅れたため,本評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
今年度より,オプトジェネティクスという光遺伝学的手法を用いることで,光刺激によって特定の神経細胞のみを刺激する手法が開発されている.この手法を応用するためのプローブにより発した光に対し,筋内に導入したウイスルベクターを逆行性に注入する。その後 脛骨神経や腓骨神経を直接光刺激を行い,電気刺激を行わずとも,筋活動を出現させる手法について,検討を行っている。次年度は,適切なベクターの作成や,光の生体内への深達度との関係性を明らかに,坐骨神経損傷モデル動物に導入後,神経や筋への影響を分析する予定である。加えて,運動介入と,光遺伝学的手法について,神経筋機能の回復が促進するかについて,検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は,光遺伝学的手法によるウイルスベクターの選定をし,作成する予定であったが,その作成ができなかったため,次年度に予算を繰越し,2年目研究計画にて使用する計画である。
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