研究課題
昨年度からの継続で,運動,不活動が骨格筋の硫黄代謝におよぼす影響について,マウスを用いて検討した。4週間の走運動試験では,骨格筋における過硫化タンパク質量の変化がみられ,中でもミトコンドリアの好気的代謝に関わるタンパク質の過硫化が高まることを観察した。不活動試験では,マウスの後肢をギプス固定することにより,不活動状態を誘発した。また,超硫黄分子ドナー (Na2S4) を毎日腹腔内投与することにより,超硫黄分子が筋委縮におよぼす影響についても検討した。3日間不活動によって,ユビキチン化タンパク質量は,対照群に比べて不活動群で高値であったが,Na2S4投与群ではその増加は見られなかった。また,炎症性サイトカインChemokine C-C motif ligand 2発現量は,不活動によって増加したが,Na2S4の投与により抑制された。2週間不活動によって,腓腹筋重量は対照群に比べて不活動群で低値であったが,Na2S4の投与により萎縮の抑制がみられた。このときCysteinyl tRNA synthetase 2発現量は,対照群に比べNa2S4投与群で高値であった。これらより,超硫黄分子が不活動による骨格筋の炎症およびユビキチン化タンパク質の増加を抑制し,萎縮を抑えることが示唆された。培養細胞試験では,過酸化水素刺激による高酸化ストレス下において,Na2S4の影響を検討した。細胞毒性や過硫化タンパク質に及ぼすNa2S4の濃度や反応時間についての情報得たが,その効果については今後の検討課題とされた。
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