• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

肝細胞におけるエクソソームによる鉄排出機構の解明と鉄過剰症への治療応用

研究課題

研究課題/領域番号 22K19720
研究機関日本医科大学

研究代表者

酒井 真志人  日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (40643490)

研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2024-03-31
キーワード鉄過剰症 / 肝細胞 / エクソソーム
研究実績の概要

鉄は生体に必須の金属だが、過剰な鉄は活性酸素種の生成を亢進させ、組織の障害を引き起こす。肝細胞は鉄調節ホルモンであるヘプシジンを分泌する一方で、主要な鉄貯蔵の場である。血清鉄濃度が高くなると、肝細胞ではヘプシジンの発現が誘導される。ヘプシジンは、マクロファージや腸管上皮細胞に多く発現する鉄輸送体であるフェロポーチンの分解を促進し、マクロファージからの鉄の放出と、腸管上皮細胞からの鉄の吸収を減少させて、血清鉄濃度を減少させる。このように、鉄恒常性は主に血中への鉄の流入を抑制することで維持されており、積極的に十分量の鉄を排出する機構がないことが鉄過剰症の治療を困難なものとしている。本研究は、肝細胞の鉄排出機構の解析から治療標的分子を同定し、新しい治療原理に基づく鉄過剰症治療を検証することを目的とする。
本年度は、肝細胞由来エクソソームを同定するために、Alb-CreマウスとCre依存性にCD9-GFPを発現するマウスを交配して、肝細胞由来エクソソームをGFPで標識したマウス(Alb-Cre+/-; Rosa26-LSL-CD9/GFP+/-)を作出した。また、6週齢のマウスに1g/kgの鉄剤(iron dextran)を6週間、週1回腹腔内投与して、鉄負荷マウスを作製して、鉄負荷マウスとコントロールマウスの肝臓中よりエクソソームを精製した。今後、プロテオミクス解析を実施する。腫瘍細胞の一部は、PROM2がフェリチン内包エクソソームの生成を促進して細胞内鉄量を減少させることで、フェロトーシスを免れることが報告されている。そこで、肝細胞特異的なApoE.HCR.hAATプロモーターによりProm2を発現するアデノ随伴ウイルス(AAV8)を作製し、肝細胞におけるPROM2発現を確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は研究に用いる遺伝子改変マウスとアデノ随伴ウイルスベクターを作製した。一方で、遺伝子改変マウスの導入と交配、肝臓中よりエクソソームを精製する手法の最適化に時間を要したため、プロテオミクス解析は次年度に実施する。

今後の研究の推進方策

今後は鉄負荷モデルの肝臓中より精製したエクソソームのプロテオミクス解析を実施し、コントロールとの比較から鉄負荷時のエクソソームに特異的なタンパク質を同定する。また、肝細胞において脂質リモデリングに関わる酵素が、血清鉄濃度の制御に寄与することを見出しており、その分子機構を解析する。

次年度使用額が生じた理由

本年度は遺伝子改変マウスの導入と交配、肝臓中よりエクソソームを精製する手法の最適化に時間を要したため、プロテオミクス解析など計画の一部を次年度に繰り越した。次年度は従来の計画に加えて、プロテオミクス解析を実施予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Exploring the signal-dependent transcriptional regulation involved in the liver pathology of type 2 diabetes2022

    • 著者名/発表者名
      Sakai Mashito
    • 雑誌名

      Diabetology International

      巻: 14 ページ: 15~20

    • DOI

      10.1007/s13340-022-00610-0

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi