研究課題/領域番号 |
22K19727
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
島 弘幸 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (40312392)
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研究分担者 |
横山 慶子 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 准教授 (30722102)
木島 章文 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (10389083)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 身体協応 / 対人協応 / 仮想空間 / VR / 協応動作 / 分岐理論 |
研究実績の概要 |
見えない力で結ばれた少人数集団の協応動作が、果たしてどのようなルールで規定されるのか? 当該年度の研究では、被験者への身体運動課題実験によってそのルールを推測するための、実験系の構築を主に行った。具体的には、VR(Virtual Reality)ゴーグルを装着した複数名の被験者が、互いの位置と身体動作をゴーグルを通じた視野だけによって感知できるという仮想空間を確立するべく、既存のモーションキャプチャーシステムを複数台の計算機とモニターを無線接続して、仮想空間内の視野と現実空間における被験者の身体動作が同期するような実験系を構築した。予備実験としては、腕の長さ程度のバットを個々の被験者に持たせ、互いの動きを仮想空間内の視野を通して感知しながら、自身の手首の内転と外転を繰り返す往復動作を課し、そのバット振動の同期の有無と位相のずれを解析した。その結果、カメラとゴーグル間における通信速度の遅延を伴わない実験系を構築できた。また、当初計画していた仮想空間内での視野制限を課さずとも、leader-follower間の役割切り替えや、異なる位相差パターンへの転移が起こり得ることが、被験者の意図と無関係に起こりえるという結果を得た。さらに、運動課題におけるバットの振動方向(左右方向または前後方向)の条件設定によって、自律的に選択される位相モードに違いが生じることがわかった。この結果は、対人協応における物理的振動方向の選択如何によって、三角対称性を有する振動系に対してHopf分岐から導出される従来の分岐現象とは、質的に異なる分岐が生じる可能性を示すものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルス感染の拡大を受けて、被験者を集めた身体動作実験を予定通り行うことが困難となり、研究計画の大部分を延期せざるを得なかった。その対策の一環として、視覚操作下での対人協応を測定できる仮想現実空間(VR空間)の構築を優先し、それを用いた予備実験と動作確認を完了させることができた。さらに、当初は予想していなかった位相差パターンの発現する傾向を見出すことが出来たことから、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、身体運動学実験で得た測定データを詳細に解析することで、被験者が感じる運動制約因子(心因性・外因性)を反映した非線形偏微分方程式系を新たに構築する。具体的には、被験者間の結合強度と遅延、および個性の差異をパラメータに含む偏微分方程式系を組み立て、その解の対称性と実験データとの整合性を精査することで、被験者間の個性の類似/相違と心身シンクロニーの相関関係を統合的に予言できる新規理論を模索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染の拡大に伴い、予定していた身体運動課題実験の大部分を中止せざるを得なかった。その対策の一環として行った仮想現実空間の実験系構築においては、既に所属研究室で有している備品を有効に活用することができたため、物品費やその他の経費に余剰がでた。次年度は、当初予期していなかった位相パターンの解析を進めるため、それに必要な備品と消耗品を購入する予定である。また、成果発表目的で予定していた学会発表も、その大部が中止またはオンライン形式に変更されたため、旅費に余剰がでた。これらの余剰経費については、次年度以降に当初予定と同じ用途で使用する予定である。
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