研究課題
申請者は骨格筋の間質に存在する間葉系前駆細胞 (FAP細胞) が,骨格筋のリモデリングに必須であることを最近明らかにした。さらにFAP細胞は様々な液性因子を発現していることから,直接・間接的にマイオカイン産生に働いている可能性が出てきた。そこで,本申請課題ではFAP細胞が直接・間接的 にマイオカイン発現に働く仮説をたて,運動依存的に放出される新規マイオカイン同定を目指した検討を行った。運動負荷依存的にFAP細胞内で細胞質から核に移行するYAP/TAZをFAP細胞特異的に欠損させたマウスに,外科的に足底筋に負荷を誘導後,その足底筋を摘出し,RNA-seq解析を実施した。比較対象としてコントロールマウスの過負荷足底筋および,両マウスのsham筋も用意し,RNA-seq解析の比較検討を実施した。その結果,コントロール過負荷筋と比較して,FAP細胞特異的なYAP/TAZ欠損マウスでは,コラーゲンをはじめとして細胞外マトリックス蛋白の発現が減少傾向にあった。これは,筋のリモデリングの1つである細胞外マトリックス蛋白の分泌にFAP細胞内のYAP/TAZが機能していることを示唆している。また,マイオカインとしてしられている分泌因子の中で,CCL7やSPARCの発現がFAP細胞で減少傾向を示した。これは,申請者らの以前行った単離FAP細胞によるRNA-seqの結果と一致していた。以上の結果より,これまで申請者が明らかにしてきたFAP細胞による筋サテライト細胞の制御以外にも,過負荷筋においては免疫系の細胞の浸潤や細胞外マトリックを介した筋のリモデリングにも寄与していることが明らかとなった。また,トレッドミルを用いた運動において,最もよく知られているIL-6のタンパク量が増加する事を確認できたため,現在FAPが特徴的に分泌する因子の解析を進めている。
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Cell Rep
巻: 43 ページ: 114052
10.1016/j.celrep.2024.114052.
Genes & Diseases
巻: in press ページ: in press