本研究は、『水の感覚』が味覚であるという概念を創出するとともに、味覚や満腹感とは独立して“おいしさ”ニューロンの活動を自在に操作する技術の開発につながる。将来的には “おいしさ”の真の心理生理的意義の解明に発展すると考えている。また、神経科学における重要な新しいコンセプトとして、外界を表現する情報である味覚と、体内環境の情報処理により生じる欲求が交差する具体的な神経回路を解明することで、体の内外をつなぐ神経機構モデルを提供する潜在性がある。さらに、介入的に飲水を促す医薬品の開発など、高齢者脱水の予防のための新しい概念に基づく方策の立案にもつながる。
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