研究課題
当該研究は,老化に伴い増大するマウス視床の凝集体の本体とその凝集様式を明らかにすることにより,難治性疾患である筋硬直性ジストロフィーのエオシン陽性視床封入体の実体を解明することと疾患進行に至る神経機能変容を理解することを目的として計画した.この目的を達成するために,(1)プロリンcis/trans異性化酵素(pin1)の遺伝子欠損マウス(KO)を用いベータアミロイド抗体陽性非膜オルガネラの実体の解明,(2)非膜オルガネラの形成過程の解明および(3)筋硬直性ジストロフィーのエオシン陽性視床封入体の実体を解明することと疾患進行に至る神経機能変容を患者の視床封入体の実体の解明をマイクロダイセクションとLC-MS/MSの組み合わせたプロテオミクス解析を中心に行う。応募者は,pin1 KOが老化伴い視床の神経細胞の細胞質にベータアミロイド抗体陽性凝集体を増大すると認めている。その凝集体は液-液相分離が形成に深く関わる非膜オルガネラの特徴を有する。更に筋硬直性ジストロフィー患者のエオシン陽性視床封入体がマウスの凝集体と病理組織学的特徴が一致することを見出している。このように当該研究は応募者の予備的研究結果をもとに見出され,pin1 KOによる凝集体の本体と形成過程を明らかにすることによりDMの視床封入体や神経機能の変容による病態の進展を明らかにしようとする萌芽な挑戦的研究である。当該年度はマウス視床のベータアミロイド陽性凝集体の本体を探索すべき150日齢から600日齢のマウスの視床を採取しウエスタンブロットによる解析を行った.特に.不溶性画分は内因性コントロールである可溶性タンパク質が検出されないことからこれらの解決のために,Stain-freeの方を用いた電気泳動バンドの総タンパク質量を持ちノーマライズする新しい定量法の確立を試みた.
3: やや遅れている
当該年度に代表者の所属の変更があり,セットアップ等に通常より時間を要することとなった.現在は機器のセットアップ含め研究を開始できているが予定より遅れを生じている.
Stain-freeの方を用いた電気泳動バンドの総タンパク質量を持ちノーマライズする新しい定量法の確立は終了した.今後は,日齢の異なる視床のRIPA可溶性画分と難溶性画分(Urea可溶化画分)を採取しベータアミロイドの定量を行うとともに免疫染色により,視床の凝集体と共存する被膜オルガネラに特有のタンパク質類との多重染色を試みる.
当該年度は代表者の所属が変更となり予定通りの研究が遂行できなかったり,学会の参加ができなかった.そのために予定より予算の消化が悪かった.繰越金により23年度は一層の研究の遂行ができると思われる.
すべて 2023 2022 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件)
International Journal of Molecular Sciences
巻: 24 ページ: 3992~3992
10.3390/ijms24043992
Proceedings of the Japan Academy, Series B
巻: 99 ページ: 48~60
10.2183/pjab.99.004
Brain Research
巻: 1798 ページ: 148160~148160
10.1016/j.brainres.2022.148160
International Immunopharmacology
巻: 117 ページ: 110039~110039
10.1016/j.intimp.2023.110039
Toxicology Letters
巻: 374 ページ: 40~47
10.1016/j.toxlet.2022.12.003
Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology
巻: 43 ページ: e66~e82
10.1161/ATVBAHA.122.317781
Scientific Reports
巻: 12 ページ: 10598
10.1038/s41598-022-14849-9
Neuroscience Research
巻: 182 ページ: 52~59
10.1016/j.neures.2022.05.007