研究実績の概要 |
令和5年度は、2023年7月にさぬき市、2023年11月に上越市の対象2地域で25年次追跡調査を実施した。結果指標であるインスリン抵抗性の指標として、Homeostatic Model Assessment for Insulin Resistance(HOMA-IR)を設定し、当該指標算出のために採血検体を用いて空腹時血糖値及び空腹時インスリン値の測定を行った。骨脆弱性骨折発生については、新規症候的骨折は「痛みを伴い医療機関を受診しX線撮影にて医師により診断を受けた骨折」の発生と定義し、追跡期間中の発生の有無、時期、部位、骨折時の状況、診断の方法を専任の保健師がアンケートと問診にて収集した。 他の対象地域含め25年次調査を受診した対象者の15年追跡調査時の凍結保存血清を用いてアイリシンを測定し、データセットを構築した。15年追跡時に糖尿病が無くHOMA-IR値が2.5未満であった251名について、本課題の主なるリサーチクエスチョンであるアイリシン値と向こう10年間(追跡期間中央値、11.3年)のインスリン抵抗性の関連について検討した。インスリン抵抗性有り(HOMA-IR値2.5以上)を23人に認めた。15年追跡時の年齢、HOMA-IR値、BMI、HDLコレステロール値と独立して、対数変換したアイリシン値が1標準偏差増加する毎にインスリン抵抗性有りのリスクが高まる可能性が示唆された(オッズ比, 1.99, p=0.011)。副次的結果指標である脆弱性骨折発生については、501人中65人に脆弱性骨折発生を認めたが、骨脆弱性骨折発生の有無の2群でアイリシン値に有意差を認めなかった(幾何平均, 7.4 ng/ml vs 7.6 ng/ml, p=0.431)。
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