研究課題/領域番号 |
22K19741
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研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
長尾 元史 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 運動機能系障害研究部, 研究部長 (00359671)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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キーワード | 脳卒中 / リハビリテーション / アストロサイト / 反応性アストロサイト |
研究実績の概要 |
急性期治療を除くと、リハビリテーション(以下、リハ)以外に有効な脳卒中治療法はない。しかし、リハも回復期(亜急性期)を過ぎると効果が減少し、維持期(慢性期)でのリハによる機能回復は困難である。生後の臨界期に、アストロサイトはシナプス形成と刈り込みを制御し回路再編に関与する。脳卒中後、アストロサイトは反応性アストロサイトへと変化し、臨界期ほどではないが、回復期の神経回路再編とリハによる機能回復に関与していると考えられる。しかし、慢性期には反応性アストロサイトによる神経回路再編はほとんど起こらず、そのことがリハに応答せず、機能回復が困難な状態を作り出していると考えられる。そこで本研究では、脳梗塞後の反応性アストロサイトの制御により、慢性期の脳内環境をリハに応答する状態に変えることが可能かを検討し、慢性期脳卒中の治療法開発の基盤を構築することを目的とする。今年度は、アストロサイト特異的Creマウス(GFAP-Cre)とRiboTagマウス(Rpl22-HA)をかけ合わせ、RiboTag法を用いてアストロサイトの遺伝子発現解析を行うための遺伝子改変マウスを準備した。また、RiboTag法の条件検討を行った。さらに、リハによる機能回復が困難な慢性期脳梗塞モデルマウスを作製するための条件検討を行った。今後は、生後臨界期のアストロサイトと脳梗塞後の反応性アストロサイトの遺伝子発現解析を行い、脳梗塞後の反応性アストロサイトを臨界期アストロサイトへと転換するのに必要な分子を同定していく予定である。そして、その分子を用いて、慢性期の脳内環境を臨界期のような神経可塑性が高く神経回路再編が起きる脳内環境に変えて、慢性期でもリハによる機能回復が可能かを検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りRiboTag法を用いた遺伝子発現解析の条件検討と慢性期脳梗塞モデルマウスを作製するための条件検討を行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
生後の臨界期アストロサイトと反応性アストロサイトの遺伝子発現解析を行い、脳梗塞後の反応性アストロサイトを臨界期アストロサイトへと転換するのに必要な分子を同定していく予定である。
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