研究課題/領域番号 |
22K19743
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
杉本 昌隆 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究副部長 (50426491)
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研究分担者 |
村上 太郎 至学館大学, 健康科学部, 教授 (10252305)
多田 敬典 至学館大学, 健康科学部, 教授 (20464993)
細山 徹 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 ジェロサイエンス研究センター, 副部長 (20638803)
渡邉 淳 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 研究推進基盤センター, 室長 (90321843)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 細胞老化 / 運動モデル / マイオカイン |
研究実績の概要 |
当該年度は、マウス胚性線維芽細胞(MEF)の分裂寿命を、C2C12細胞培養上清(CM)に含まれる因子が延伸することを見出した。またC2C12 CMに曝露したMEFでは、SA-βGal、Cdkn2a遺伝子など複数の細胞老化マーカーの活性・発現に低下が見られたことから、CM中には細胞老化を抑制する因子が含まれることが示唆された。質量分析によりC2C12細胞培養上清に含まれる因子を解析し、運動によって血中濃度が増加する因子に関する先行研究のデータと照らし合わせ、一つの候補因子を得た。この因子に対する中和抗体存在下では、C2C12 CMによるMEF細胞老化抑制作用に減弱が認められた。さらに、精製した同因子を培地中に添加することにより、細胞老化マーカーの発現低下と増殖の亢進が観察された。これらの実験結果から示されたC2C12から分泌される細胞老化抑制因子をセノサプレッサー(seno-suppressor)と分類した。 生体内におけるセノサプレッサー動態と生理作用について解析を行うために、当該年度はマウス運動モデルの樹立を行った。マウス運動モデルを用いた多くの先行研究において、末梢組織の細胞老化に対する影響について一貫性が見られないが、自発的運動モデルにおいてはほぼすべての先行研究で末梢組織の細胞老化が低下する傾向が見られていることから、本研究でも自発的運動モデルを樹立して解析することにした。分担研究者(至学館大学)において回転ホイール付きケージを作製し、自発的運動モデルの樹立を開始し、1日当たり2~5 kmの走行を自発的に行うモデルを樹立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度は代表研究者の異動により、前半部で研究の遅れが生じたが、分担研究者の協力によりほぼ当初の計画通り研究を進めることができている。自発的運動モデルの樹立ができたので、次年度は計画書に記載した様に、運動による末梢組織老化細胞及びセノサプレッサー動態変化について解析を行う。自発的運動を約2ヶ月行った群と通常ケージで飼育した対照群を作製する。マウスは末梢組織で老化細胞マーカーの発現が観察できるように、6ヶ月齢のものを使用する。両群のマウスの呼吸機能検査を行った後に肺、肝臓、脂肪、筋、血液をそれぞれのマウスから採取し、自発的運動が呼吸機能、老化細胞動態、血中セノサプレッサーに及ぼす影響について調べる。また筋組織においては、両群のセノサプレッサー発現について調べる。 さらに、精製タンパク質をマウスに一定期間投与し、末梢組織老化細胞動態への影響について解析を行い、運動と同様の効果が見られるのかについて検討を行う。 またセノサプレッサーの分子機能解析・シグナルについて調べるために、MEFをセノサプレッサーで刺激してRNA発現解析を行う。 当該年度は計画書に記載した様に以上の実験を行う予定であり、既に一部の実験については先行して予備実験を行っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度の代表者の異動により、動物実験の再申請を含めて計画を遂行するための準備に時間が想定以上に必要となった。2023年度は動物実験を含め、分担研究者との共同研究を予定通り進める。
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