研究課題
「食べる・食事」は生きていくための営みであり、さらに食事を通して他者と時間を過ごすことで人間関係を構築するための手段(会話の助け)としても利用されてきた。しかし、飽食という現代社会を生きる私たちは、食がもたらす喜びや育みをさほど考慮しない状況を営んでいる。それゆえ、食行動の意味合いに焦点を当て、食がもたらす喜びはどのように生まれ、食の選択や食を求める行動(食行動)が導かれるのか、食行動の理解を進めることが重要である。本研究では、食報酬に対する快・喜びと食行動を評価する新規システムの確立と喜びや食行動に関わる脳内神経回路の解明を目指す。昨年度は、超音波発声装置を導入し、報酬獲得時の発声を抽出することができた。また、バイオセンサーを用いることで、脳内における神経活動を測定できることを確認できた。ただ、個体間のバラつきや安定した表情解析にむけ、報酬であるチョコレートを変更したこともあり、残念ながら表情解析の有意な違いを取らえることができなかった。今年度は、表情解析のバラつきを防止するために、頭部固定による食行動測定装置の準備を進めた。さらに、バイオセンサーの同時測定に取り組んだ。オレキシンセンサーを特定の脳領域に発現させ、オペラント条件づけ課題における報酬獲得時のオレキシン遊離について検討した。その結果、報酬獲得時にオレキシン遊離反応が大きく変化するが、目的指向な行動時にはそのような変化が見られなかった。しかし、コントロール動物でも多少の反応があるため、その原因の追究が必要である。
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