研究課題/領域番号 |
22K19752
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
藤野 英己 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (20278998)
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研究分担者 |
近藤 浩代 名古屋女子大学, 健康科学部, 准教授 (50333183)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | エクソソーム / 超音波照射 / 気圧刺激 / マクロファージ / 炎症抑制 |
研究実績の概要 |
本研究では糖尿病性微小血管症を予防するための新規物理療法の開発を実施する。物理的な刺激として超音波照射による検証と気圧・酸素濃度変動を制御できる新たな装置を開発することを目的としている。骨格筋細胞に対する超音波照射は細胞から放出されるエクソソームを増加できることが観察され,放出されたエクソソームがマクロファージの炎症作用を抑制することが確認できた。メタボロ解析により本作用には免疫応答遺伝子IRG1発現増加によるイタコン酸の産生を増加させることによる作用と考えられた。本検証で骨格筋から放出されるエクソソームの有用性が確認できたために気圧・酸素濃度変動によるエクソソームの検証を実施した。低酸素環境は通常酸素環境に比較して筋芽細胞の増殖を促進させることが観察され、さらにRNAシーケンスによるKEGGパスウェイ解析で低圧低酸素環境下では低酸素環境に比較してPI3K-Aktシグナリングパスウェイに差が認められた。また、低酸素環境は通常酸素環境に比較して筋芽細胞からのエクソソーム放出を促進させ、マクロファージの炎症抑制が増強されることが観察された。また、低酸素環境下での筋芽細胞からのエクソソーム放出促進には、HIF-1αとRab39bが関与していることが示唆された。これらの結果から低圧低酸素環境は筋芽細胞の増殖を効果的に促進する環境であることが明らかになったために気圧・酸素濃度変動を制御できる新たな装置の開発を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
超音波照射での検証は予想をしていた通りの効果が観察された.また,新規物理療法機器の開発の基盤となるin vitroでの検証は予想通りに進み,同時に新規物理療法機器の開発を行っている.一方,新規物理療法機器の開発では予想出来なかったエアリークや温度,酸素濃度,二酸化炭素濃度の制御の困難さがあり,計画通りには進まなかった.
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今後の研究の推進方策 |
骨格筋細胞への気圧・酸素濃度の制御でエクソソーム放出が促進されることが確認できた.新たに気圧・酸素濃度の制御できる装置を開発し,本装置での効果検証をin vitroで実施する計画である.また,本年度後半にはモデル動物を使用した検証へ進展させる計画である.
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次年度使用額が生じた理由 |
新たに気圧・酸素濃度の制御できる装置を開発時にエアリークや温度,酸素濃度,二酸化炭素濃度の制御が計画通りには進まなかったために開発費用の支出が出来なかった.本年度,気圧・酸素濃度の制御できる装置が完成するために開発費用として使用する計画である.
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