研究課題/領域番号 |
22K19757
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
齋藤 悠城 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40758702)
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研究分担者 |
齋藤 貴子 (千見寺貴子) 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (40452982)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 細胞老化 / メカノバイオロジー / 慢性炎症 / メカニカルストレス |
研究実績の概要 |
細胞老化とは、傷害された細胞が細胞分裂を停止する安全装置の一つであり、がん化を防ぐ生体防御の仕組みとして知られる。老化細胞はアポトーシスとは異なりすぐには死滅せず、サイトカインやケモカインなど様々な生理活性物質を分泌する細胞老化関連分泌形質(SASP) となり、“有益な細胞老化”として組織修復や個体発生などに関与する。申請者はこれまでSASPが免疫細胞を活性化して傷害された細胞をクリアランスすること(EbioMedicine 2019)、エクササイズによるメカニカルストレスが細胞老化を誘導し、組織幹細胞を活性化する有益老化細胞の存在を明らかにしてきた(Nature Commun 2020)。一方で、“有害な老化細胞” が臓器に蓄積し、加齢関連疾患における慢性炎症や線維化を引き起こすことが報告されたことから、相反する2つの細胞老化の細胞分子メカニズムの解明が世界的に強く求められている。申請者はこれまでの一連の成果から、メカニカルストレスを感受するメカノセンサーの違いが、有益な老化細胞と有害性老化細胞を区別するスイッチであり、メカノバイオロジーの観点から細胞老化の2面性を説明できるとの考えに至った。 当該年度では、増殖細胞と老化細胞において、RNA-seq解析を中心に実施し、老化細胞に特徴的に発現する因子群を同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
増殖細胞と老化細胞において、RNA-seq解析を中心に実施し、老化細胞に特徴的に発現する因子群を同定に成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
RNA-seqデータの解析をより詳細に進め、老化細胞に特徴的な因子の絞り込みを行う。今後、in vitroにおいて、上記で同定した因子の機能解析を実施するため、CRISPR-Cas9等を用いてノックアウト実験を行う。さらに、伸展培養装置を用いて、老化細胞に特異的なメカノセンサーの同定を継続して実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
公共データベースに利用可能な実験結果が公開され、wet実験をせずにdry解析のみで実施可能な部分があり、その部分の試薬代金分に差が生じたため。
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