研究課題/領域番号 |
22K19758
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研究機関 | 茨城県立医療大学 |
研究代表者 |
石井 大典 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 准教授 (30803291)
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研究分担者 |
河野 豊 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (10392200)
四津 有人 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30647368)
尾崎 弘展 同志社大学, 脳科学研究科, 准教授 (30747697)
武田 湖太郎 藤田医科大学, 保健学研究科, 准教授 (50618733)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 半側空間無視 / 脳卒中 / リハビリテーション / モデル動物 / 脳梗塞 / 注意機能 |
研究実績の概要 |
半側空間無視(Unilateral Spatial Neglect: USN)は,大脳半球の損傷により生じる高次脳機能障害の1つで,損傷した大脳半球とは反対側へ注意を向けることや反応することが障害される.USN患者では脳の損傷部位が様々であり,呈する症状も一定でないことからリハビリテーションの効果を検証するのが難しく,USNに対するエビデンスの高い訓練は少ない.また,高齢者ほど症状が残存しやすいことも知られている.そこで本研究は,条件の統制が可能な半側空間無視モデルマウスを作製し,年齢による回復能力の違いに着目して,回復促進に効果的な新規ターゲット分子を探索する.また,新規に発見されたターゲット分子の回復促進効果を検証し,リハビリテーションと薬物療法の併用という新たな治療戦略の提案を目的としている.今年度は高齢マウスでのUSNモデルマウスの作製を試みた.具体的には,光血栓法を用いて高齢マウス(72週齢)の右Medial agranular cortex(AGm)に脳梗塞を作製し,8方向放射状迷路を用いてUSNの評価を行った.USNの最終評価後,脳を取り出し,ニッスル染色後に損傷領域を同定した.その結果,高齢マウスにおいてUSN症状を呈するマウスを作製することに成功した.また,若年USNモデルマウスに比べ高齢USNモデルマウスはUSN症状の回復に時間を要した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高齢USNモデルマウスの作製において,解決すべき課題が多くその解決に時間を要した.現在は問題なく高齢USNモデルマウスを作製でき順調に研究を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,高齢USNモデルマウスと若齢USNモデルマウスの回復度の違いに着目し,その背景にある神経メカニズムの解明を目指す.具体的には,週齢の違いによるUSNからの回復の差に寄与する遺伝子・タンパク質を同定する.
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次年度使用額が生じた理由 |
高齢マウスの納品に時間を要したこと,および高齢マウスは若年マウスと異なり頭蓋骨の透過性が低く脳梗塞の作製が容易ではなかったことから,USN高齢マウスモデルの作製に時間を要した.その結果,予定していた分子生物学的解析が行えず次年度使用額が生じた.さらに,必要物品の購入・納品に多大な時間を要し,年度内に必要物品を購入できなかったことから次年度使用額が生じた.翌年度は,早期に高齢USNモデルマウスの作製を進め,週齢の違いによるUSNからの回復の差を明らかにし,その背景にある回復に寄与する遺伝子・タンパク質を同定する.
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