研究課題/領域番号 |
22K19774
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
津邑 公暁 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00335233)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | Approximate Computing / 非厳密計算 / 値再利用 / 値予測 |
研究実績の概要 |
本研究のベースアーキテクチャとして採用する,自動メモ化プロセッサは,動的にバイナリプログラムにメモ化を適用するものである。これまで自動メモ化プロセッサは,SPARCおよび,特殊なARMアーキテクチャをベースとした実装を前提としてシミュレーションを行ったきたため,その汎用性や実用性を十分に評価できていない可能性がある. そこで,オープンかつ標準的な命令セットアーキテクチャとして注目を集めている RISC-V を新たに自動メモ化プロセッサのベースアーキテクチャとして採用し,その実装や評価を通じて自動メモ化プロセッサの汎用的実用性や改良の余地を検討した.RISC-V をベースアーキテクチャとする自動メモ化プロセッサが,既存の自動メモ化プロセッサの評価結果と同等のパフォーマンスを示すか否かについて検証するため,stanford ベンチマークを用いたシミュレーションによる評価を行った.その結果,RISC-V をベースアーキテクチャとする自動メモ化プロセッサの実行サイクル数は,自動メモ化機構を実装しない場合と比較して,最大 49.0%減少,平均 6.2%増加となった.実行サイクル数の削減に成功した場合が存在したことから,RISC-V をベースアーキテクチャとする自動メモ化プロセッサは,既存の自動メモ化プロセッサと同様に性能向上が期待できることが確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度では,非厳密計算の対象とするプログラム区間および,その区間に適用する計算近似度をプログラマに指定させるためのディレクティブを含む記述仕様を設計し,それを解釈・実行するコンパイラおよびプロセッサを設計・実装した。値再利用には連想検索のためのエンジンを利用するが,最大性能の確認のため,まずはハードウェアでの実装を検討し,既存のRISC-Vプロセッサシミュレータ上に設計・実装した。また,そのハードウェア連想検索エンジンを利用するための拡張命令セットを設計した。非厳密計算の対象として指定できる処理区間は,まずはプログラム中の関数とし,プログラマは必要に応じて,対象区間を関数として切り出して定義した上で,その関数に対してディレクティブを付加した。ディレクティブでは値再利用の際の入力近似度をパラメータとして指定できるようにしておき,これを解釈し拡張命令へと変換するコンパイラを設計・実装した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,当初の予定どおり,計算近似度の自動調整機能の検討・実装にとりかかる。この 準備として,さまざまな応用アプリケーションの振る舞いを詳細に解析し,入力近似度が出力誤差に与える影響についても調査する。また,初年度の検討を通じて,値再利用と値予測との融合によりさらなる効率化が図れるのではないかという発想を得たため,値予測機構をベースアーキテクチャに組み込む方法についても,並行して検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
投稿予定であった国際会議論文およびジャーナル論文の執筆が遅れたため,投稿を次年度に持ち越すことになり,関係する参加費・旅費・掲載料を次年度に使用することとなった。
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