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2023 年度 実施状況報告書

計算と電力供給を融合したプログラマブルアーキテクチャの創生

研究課題

研究課題/領域番号 22K19778
研究機関長崎大学

研究代表者

柴田 裕一郎  長崎大学, 情報データ科学部, 教授 (10336183)

研究分担者 石塚 洋一  長崎大学, 工学研究科, 教授 (50284708)
研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2025-03-31
キーワードプログラマブルアーキテクチャ / 電源回路 / 集積回路
研究実績の概要

演算と電力供給を適切に融合させるためには、チップ内部における各演算機構のの電力消費の測定する必要があるが、チップ内部のさまざまなポイントで電流を低コストに測定することは容易ではない。そこで、オンチップのディジタルLDO (Low Dropレギュレータ) を用いて電流を推定する方式を考案し、パワーエレクトロニクス用回路シミュレータで動作の検証し、出力コンデンサの電流が推定精度に与える影響などを明らかにした。また、設計に必要な回路パラメータを決定するためには、LDO内のスイッチの詳細な特性を明らかにする必要がある。そこで、スイッチ群のフルカスタムレイアウト設計を行い、抽出したネットリストを電子回路シミュレーションによって特性を評価し、その構成を検討した。一方、計算と電源供給を密に連携させるためには、計算要素ブロックごとの電力消費モデルの構築が必要である。そこで計算性能の向上に大きく貢献するベクトル拡張演算および分岐予測に着目し、オープンソースの命令セットアーキテクチャRISC-Vについて、分岐予測バッファの構成やベクトル拡張の有無などを変化させた複数のバリエーションをFPGA(機能を変更可能な半導体デバイス)上に実装し、ベンチマークプログラムを実機走行させながら消費電流を測定する実験を行った。複数の電流を測定方法を比較し、消費電力モデル構築のための評価は行うことができたが時間軸上の解像度については限界もあり、前述のLDO方式での電流推定法を実現する意義も再確認された。本デバイスの有力な用途として想定されるエッジ向け機械学習アプリケーションでは、必ずしも厳密な演算処理が必要ではない。精度と性能と電力のバランスをとることで全体を高効率化できるため、交通画像や医療画像の解析処理を題材とし、演算精度の変更や近似処理の導入による影響を評価し学会等で発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

商用のカスタムプロセッサ設計ツールを導入し、独自命令や独自構成をもつプログラマブルアーキテクチャおよびそのコンパイラを実装流環境を整備し、それに基づくプロトタイプ回路の消費電力測定実験も行った。LDOによる電流推定回路についてもパワーエレクトロニクスシミュレーションやフルカスタムレイアウト後の電子回路シミュレーションにより特性評価を通じて構成上の改善を図っている。主要用途として想定される機械学習アプリケーショ ンの演算精度と電力の関係性の分析などについても、国際学会での論文発表を行うなど研究課題全体としておおむね順調に進展していると判断できる。

今後の研究の推進方策

今後はディジタルLDOによる内部電流推定機構とカスタム演算アーキテクチャを組み合わせた実機の評価を通じてその効果と課題を抽出すること目指す。また、並行してプルーフオブコンセプトとなる回路要素の試作チップの実装に取り組む予定である。さらに最終年度でもあることから、研究成果の学会等での発表についても積極的に注力していく。引き続き研究分担者と密に連携しながら推進していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初、LDO(Low Drop)レギュレータによる電流推定のための検証用チップを試作する予定であったが、レイアウトした回路のシミュレーションによる評価の結果、負荷電流が小さい時に出力電圧の変動幅が拡大し推定精度に影響する懸念が生じたため、念の為、試作を令和6年度に行うことと変更したためである。現在は、出力部に抵抗成分を挿入することでこの影響を抑えられることがシミュレーションによって確かめられたため、令和6年度は予定通り試作を行う計画である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] A Mobile-Oriented GPU Implementation of a Convolutional Neural Network for Object Detection2023

    • 著者名/発表者名
      Araki Yasutoshi、Kawazu Takuho、Manabe Taito、Ishizuka Yoichi、Shibata Yuichiro
    • 雑誌名

      Lecture Notes on Data Engineering and Communications Technologies

      巻: 176 ページ: 149~160

    • DOI

      10.1007/978-3-031-35734-3_15

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Efficient FPGA Implementation of a Convolutional Neural Network for Surgical Image Segmentation Focusing on Recursive Structure2023

    • 著者名/発表者名
      Miura Takehiro、Abe Shuto、Manabe Taito、Shibata Yuichiro、Kosaka Taiichiro、Adachi Tomohiko
    • 雑誌名

      Lecture Notes on Data Engineering and Communications Technologies

      巻: 176 ページ: 137~148

    • DOI

      10.1007/978-3-031-35734-3_14

    • 査読あり
  • [学会発表] A Mobile-Oriented GPU Implementation of a Convolutional Neural Network for Object Detection2023

    • 著者名/発表者名
      Araki Yasutoshi、Kawazu Takuho、Manabe Taito、Ishizuka Yoichi、Shibata Yuichiro
    • 学会等名
      International Conference on Complex, Intelliggent, and Software Intensive Systems
    • 国際学会
  • [学会発表] Efficient FPGA Implementation of a Convolutional Neural Network for Surgical Image Segmentation Focusing on Recursive Structure2023

    • 著者名/発表者名
      Miura Takehiro、Abe Shuto、Manabe Taito、Shibata Yuichiro、Kosaka Taiichiro、Adachi Tomohiko
    • 学会等名
      International Conference on Complex, Intelliggent, and Software Intensive Systems
    • 国際学会
  • [学会発表] 次世代省エネルギーコンピューティング研究基盤としてのASIP Designer2023

    • 著者名/発表者名
      柴田裕一郎
    • 学会等名
      ASIP開発ソリューション・セミナー2023
    • 招待講演
  • [学会発表] FPGAによるストリーム型リアルタイム画像処理2023

    • 著者名/発表者名
      柴田裕一郎
    • 学会等名
      第14回ACRiウェビナー
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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