研究課題/領域番号 |
22K19798
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
斉藤 一哉 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (40628723)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 生物模倣工学 / セラミック / 3Dプリンタ |
研究実績の概要 |
本研究プロジェクトは,研究代表者がこれまでに取り組んできた,1.最新のデジタルファブリケーション技術と2.生物模倣工学を日本の伝統的な陶芸技術と融合させる2つの独創的アプローチで革新的セラミック加工造形技術と機能セラミックを開発し,陶磁器の新たな時代を創る.この挑戦的研究が完成すれば,衰退しつつある日本の陶芸産業を再浮上させる新たな市場とアプリケーションを生み出すと同時に,使い捨てプラスチック包装容器を駆逐する陶磁器の新たな「器」文化のひな型を提示することで,世界の生産消費・流通形態を変革し,脱プラスチックに対する学術の方向を大きく転換することが可能となる. 2023年度は「(A-1) セラミック3Dプリンタの基礎技術の開発」を中心に取り組んだ。汎用のスライサーソフトではなく、セラミック3Dプリンタのツールパスを直接設計するプログラムを開発し、ノズルの軌跡を3次元的に制御することで、セラミックで複雑なセル構造体を開発する手法を開発した。「(B-2)自然のセル構造体に学ぶセラミック構造」についてサーベイを行うとともに、マイクロCTスキャナからウニや貝殻の3Dデータを取得し、3Dプリンタで出力する方法を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
セラミック3Dプリンタのツールパスを3次元的に制御する手法に関しては、建築用3Dプリンタに活用可能な技術として特許出願を検討しており、大きな成果であると考えている。貝殻をマイクロCTで撮影している新潟大建築学専攻の研究者や、東大三崎臨海実験所、九大天草臨海実習所など海洋生物学者とのネットワークを構築できたことも大きな進展であった。当初の研究計画になかった建築用3Dプリンタへの活用を是非進めたく、研究期間の延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画になかった建築用3Dプリンタについて重要な成果が得られたため、研究機関を延長したが、その他の項目に関しては基本的には研究計画書に沿って遂行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究協力者のRina Bernabei博士を招聘する予定であったが、2023年度は予定が合わずに断念した。また、旧型のセラミック3Dプリンタを更新する予定であったが、エクストルーダのみを新型に交換することで対応可能であることが分かったため、金額を抑えることができた。繰越金は2024年度に海外出張旅費と、国際ワークショップの実施のため使用する予定である。
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