研究課題/領域番号 |
22K19804
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
豊村 暁 群馬大学, 大学院保健学研究科, 准教授 (90421990)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 吃音 / ネガティブバイアス / 内受容感覚 / セルフコンパッション / ポジティブ心理 / MRI |
研究実績の概要 |
聞き手がほとんど吃音に気づかない場合でも、吃音話者は自己の発話に関して非常に悩んでいることが多い。つまり、吃音話者の自身の発話への評価は、聞き手が感じる程度と比較して、ネガティブにバイアスされていることが多い。このネガティブバイアスは心の健康にとってマイナスに働き、様々な社会行動を狭めている。令和5年度に倫理委員会に研究計画を提出して、通過後に計測を開始した。ネガティブバイアスの定量化法として、自身の発話に対する[自己の評価値-N人の他者からの評価値の平均]を用いた。マイナスの値が大きければ大きいほど、他者の評価より自己の評価が低いことを示す。また、ネガティブバイアスは発話生成時のエラーを見逃さない自己への厳しさとも捉えることができ、内受容感覚との関連も推測できる。そこで、心電図を計測しながら心拍カウント課題を課して、話者の内受容感覚の正確さ(大きさ)を定量化し、バイアスとの関連を調べた。これまでの結果では、吃音話者群と非吃音話者群でバイアス量に違いはなかった。一方で、吃音話者群は内受容感覚が大きいほど、有意にネガティブバイアスが大きい結果であった。つまり、身体への感度が高い話者ほど、自己の発話への評価は低かった。参加者数がまだ十分でないため、今後も実験を継続して検討を続ける。/成人吃音話者に対するセルフコンパッション(思いやりにあふれた自己との関わり方)の効果やその神経基盤を調査する研究を進めてきた。MRIを用いてコンパッション瞑想中の吃音話者の脳活動を計測したところ、行為のイメージに関わる補足運動野や尾状核などの活動が観察された。また、瞑想のイメージの強さは、吃音に関わる心理的苦痛の程度や他者からのサポートの満足度といったこれまでの吃音に関する経験と関連することが分かってきた。今後さらに、長期的な瞑想の効果について検証していく。その他、研究員のリクルートを進めてきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
バイアスの計測がスタートしたが、さらに参加者数を増やす必要がある。また、予定していた研究員の確保が進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
現在進行中の計測を引き続き継続する。取得済みのデータについて解析と学会発表へのまとめ作業を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究に従事する研究員を雇用する予定であり、そのための予算を確保しているため。
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