研究課題/領域番号 |
22K19822
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
関 洋平 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (00348468)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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キーワード | 立場分類 / 市民意見 / 市議会議員 / BERT / マルチタスク学習 / アテンション / 都市間比較 / スマートシティ |
研究実績の概要 |
本研究では、政策課題に対する市民と自治体の意識を調査する文書ジャンルとして、ソーシャルメディアと市議会の議事録を対象とし、市民や市議会議員の意見を賛成・反対などの立場で分類し、有用性や地域依存性、政策課題に対する適合性などの属性を判別して組み合わせて抽出した意見を都市別に比較する。提案手法では、政策課題に対するアテンション(注意機構)や、適合性を考慮したマルチタスク学習により、市民意見・市議会議員意見の抽出精度が向上することを明らかにした。さらに、カジノなどの統合リゾート(IR)誘致に関する市議会議員と市民意見を大阪市と横浜市とで比較した結果、大阪市の方が横浜市よりも賛成意見が多いことを明らかにし、最終的に実際に大阪市に誘致されることになった結果と矛盾がないことを明らかにした。これらの成果は、国際会議ICADL 2022 に full paper として採録され、Best paper award/best student paper award の runner-up に選定されると同時に、Springer社から LNCS (Lecture Notes in Computer Science) シリーズの書籍中の一章として発行された。また、2層構造に基づきアノテーションを行い、マルチタスク学習を利用してネットスラングを抽出する手法について国際会議 IALP 2022 で発表し、スマートシティの国際規格の標準化に関する動向については画像電子学会 年次大会にて報告した。そのほか、アスペクトを考慮した意見分析に基づきスキー場などの施設を外国人観光客向けに比較する手法に関する研究、大規模言語モデルであるT5を利用した解説文生成の手法に関する研究(複数の学会で受賞)などの研究を遂行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
市民と市議会議員の立場の違いを定量化する手法を提案し、その有効性について実際の政治課題に対する複数の都市を対象とした検証が行えているため。
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今後の研究の推進方策 |
現在の提案手法は深層学習モデル BERT に基づき実現されているが、T5やRoBERTa など他のモデルについても検証を進め、また、現在対象としていない他の政治課題についても対象を広げていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終的な学会出張費が確定したのが3月であり、残額は 5,000 円以下であることから次年度に使用することとした。
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