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2022 年度 実施状況報告書

メチル水銀の個体差・感受性を決定するメチル水銀脱メチル化酵素の探索

研究課題

研究課題/領域番号 22K19850
研究機関北里大学

研究代表者

清野 正子  北里大学, 薬学部, 教授 (30239842)

研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2025-03-31
キーワードメチル水銀 / 無機水銀 / 脱メチル化 / 水銀毒性
研究実績の概要

本研究の目的は, メチル水銀から産生する無機水銀がメチル水銀毒性の個人差を生む実態であるという仮説を検証することである。水俣病やイラクのメチル水銀中毒の事例から, 摂取したメチル水銀の量と発現毒性に正の相関を示さない例がみられるように, メチル水銀の感受性に関しては個人差が大きい。メチル水銀は生体内で約5%が脱メチル化し, 無機水銀が産生されることが知られているが, 脱メチル化酵素は同定されておらず, 無機水銀の産生機構は不明である。申請者は, 生体内に脱メチル化酵素が存在し, 発現するアイソザイムの違いによってメチル水銀感受性の個体差が生まれるという仮説を立て, それを検証する。本研究では, メチル水銀の脱メチル化酵素を同定し, メチル水銀から産生する無機水銀による神経変性疾患および糖尿病の発症, 増悪に関わる遺伝子発現に与える影響を明らかにする。このことにより, メチル水銀の摂取が原因で発症・増悪する疾患の予防や治療などへ応用できる。
申請者はMerBの研究から, 細胞内で生じた無機水銀は、メチル水銀の細胞毒性の強さを決める実行因子となりうる知見を得た。本年度は、この細胞毒性の違いを明らかにするため、野生型細胞とMerB発現細胞を用いてオートファジー応答について詳細に検討した。その結果、MerB発現細胞特異的なオートファジー応答を見出し、この応答が無機水銀の細胞毒性を決定する因子の一つである可能性を見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

メチル水銀脱メチル化酵素探索のためには, 無機水銀産生能が高い細胞系を特定する必要がある。本年度は計画どおり当研究室で既に保有している種々のヒト・マウス培養細胞(数十細胞株)について無機水銀の産生細胞能を評価した。

今後の研究の推進方策

また, 次年度で行う標的遺伝子の同定を補助する目的で, 十数種類の阻害剤セット(Merck; シグナリングパスウェイパネル)を用いて無機水銀産生に関わるシグナル経路を推定する。メチル水銀の脱メチル化酵素Xを同定するため、MerB発現細胞を用いたRNA-seqを実施し、Xの候補分子を特定する。

次年度使用額が生じた理由

当年度の予算の範囲内で、計画した実験が概ね遂行されたので、余剰を次年度に繰り越した。繰り越した予算と合わせて、次年度は、RNA-seqを遂行する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 無機水銀によるユビキチン化タンパク質の蓄積とオートファジー応答2023

    • 著者名/発表者名
      高根沢康一, 石川航平, 中村亮介, 大城有香, 浦口晋平, 清野正子
    • 学会等名
      日本薬学会第143年会(2023)
  • [学会発表] 健康と環境の見地からひもとくメチル水銀毒性防御に関する研究2022

    • 著者名/発表者名
      清野正子
    • 学会等名
      フォーラム2022衛生薬学・環境トキシコロジー
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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