研究課題/領域番号 |
22K19856
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
金子 雅紀 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (80633239)
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研究分担者 |
吉村 寿紘 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(生物地球化学センター), 副主任研究員 (90710070)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | メタン生成 / メタン生成アーキア / 補酵素F430 / LC-ICP-MS |
研究実績の概要 |
本研究の目的はメタン生成の鍵となる補酵素F430の亜種の網羅的分析法を開発し、環境試料中から未知のF430亜種を含む全てのF430類を検出可能にすることであ る。本研究の成功は、突如として不明瞭になったメタン菌の生物的・代謝的多様性の全容を解き明かすのに極めて重要な知見をあたえ、従来の炭素循環に対する 見解を再構築することが期待できる。 ここで開発しようとする補酵素F430亜種の網羅的分析法とは、高速液体クロマトグラフィー(LC)と誘導結合プラズマ質量分析を組み合わせた(ICP-MS)LC- ICP-MS法のことである。 当該年度は、昨年構築したLC-IPC-MSを用いて、検出感度を算出した。当ラボで作成している補酵素F430の標準溶液を用いて検量線を作成したところ、現状の検出感度は30picomol(30xE-12mol)であった。これは、吸光検出機と同程度であり、またトリプル四重極質量分析計の10,000分の1程度である。現状の感度では海洋堆積物などの環境試料からの補酵素F430の検出は難しく、仮に検出可能なほどメタン生成が活発な環境があったとしてもより簡便な吸光検出機による検出が可能であり、実用性に乏しい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、LC-ICP-MS法による補酵素F430亜種の網羅的解析法を開発することであり、そのためにはLCとICP-MS分析装置を接続した分析装置を構築する必要がある。 これまでにLC-ICP-MS法の構築とその検出感度の現状把握を完了しているため、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度は構築した分析システムを用いて、補酵素F430標品の検出までは完了しているが、環境試料や生体試料に応用するためには更なる高感度化が必要である。次年度は構築したシステムの最適化を行い、高感度化を行うとともに環境試料への応用を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度はテクニカルスタッフとして適当な人材がおらず、雇用が発生しなかったため人件費が未使用となった。また、分析手法開発において、早い段階で問題箇所が高速液体クロマトグラフ部ではないことが判明し、計上していた液体クロマトグラフ用分離カラムの消耗が少ない結果となり、消耗品費の使用が少なくなった。次年度は研究の効率と確実性を向上させるため海外の研究機関に滞在することを計画しており、残額を有効利用する予定である。
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