代替フロンとして最も使用されているジフルオロメタン(HFC32、R32)は温暖化係数が高く、今後大量に排出されることが懸念される。特に、R32は分子サイズが窒素(N2)分子や酸素(O2)分子と極めて近いため空気(N2、O2)と分離することが難しく、回収された場合も破壊処理される。本研究ではN2、O2とメタン(CH4)等の気体分子と細孔サイズが近く、小分子を高精度に分離可能なゼオライト膜を用い、ゼオライトが持つ分子篩の機能とR32とN2、O2分子とのゼオライト膜の吸着エネルギーの差による新たなR32を分離回収する技術を開発する事を目的とする。 CO2とN2の中間の大きさの細孔を持つゼオライトを膜化するため、AFX型ゼオライトとしてSAPO-56,SSZ-16の結晶の合成に成功した。また、SAPO-56、SSZ-16の薄膜化を行い、それぞれ薄膜化が可能であった。すなわち2種類のAFX型ゼオライト膜の合成ができた。それらの膜を用いてCO2とN2の気体の透過速度を測定した結果、分離係数を有することが確認できた。いっぽう、CO2分子とN2分子を完全に分離するためには、さらなる分離性能の向上が必要であることが分かった。そのためには、AFX型ゼオライト結晶の緻密化を図ることが必要と考えられた。
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