研究課題/領域番号 |
22K19867
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
遠山 忠 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60431392)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 微細藻類 / バイオマス / 生物共生系 / 脱炭素化 |
研究実績の概要 |
微細藻類を利用したモノ創りプロセスは脱炭素化に貢献するポテンシャルを有するが、物質生産性が低いことが最大の課題である。申請者は先行研究において微細藻類の増殖と代謝・物質合成系を促進する細菌を発見し、促進細菌が微細藻類生産を高める手段になるのではとの仮説を立てた。 そこで、本研究は、微細藻類の光合成と有用物質生産の効率を高めることが期待できる促進細菌を分離し、「微細藻類-促進細菌共生系」が有する代謝・物質合成のメカニズムとポテンシャルを科学的に理解すると共に、「微細藻類-促進細菌共生モデル系」をバイオ触媒として活用してCO2から有用物質を高生産する技術を開発することを目的としている。 本年度は、昨年度に引き続き、Chlamydomonas reinhardtii, Euglena gracilis, Chlorella vulgarisとChlorella sorokinianaの微細藻類を対象として、それぞれの微細藻類種に共生する促進細菌を探索することを試みた。その結果、新たに150株以上の微細藻類共生細菌を分離することに成功した。さらに、分離菌株の16S rRNA遺伝子配列をもとにした系統分類学的同定を行った後に、植物ホルモンであるIAA生産性、鉄キレート物質であるシデロフォア生産性、藻類の増殖を補助するビタミンB群の生産性を調べた。微細藻類の共生細菌の多くは、IAA、シデロフォアあるいはビタミンB群のいずれか、または、複数の生産性を有しており、これらの特性が宿主である微細藻類の増殖に有益な作用をしているものと考えられた。 さらに、特に宿主微細藻類の増殖を促進する優秀な促進細菌を新たに20株以上獲得することができた。これらの促進細菌と微細藻類の共培養による有用物質生産の最適化にも着手し、微細藻類のみの培養に比べて2倍以上の物質生産性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
宿主微細藻類の増殖を促進する優秀な共生細菌を獲得し、微細藻類と共培養することで、微細藻類の物質生産速度を2倍以上高めることに成功した。このことから、当初研究計画の年次目標を達成していることから、「(2)おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、促進細菌が宿主微細藻類に作用する分子機構、すなわち微細藻類-細菌間の相互作用機構を明らかにすることを目指す。 また、微細藻類と促進細菌の共培養をスケールアップして、物質高生産の実証試験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、微細藻類の増殖が不良のために2023年度後半に予定していた分析が実施できなかったためである。2024年度は微細藻類の培養条件を整え、予定した分析を実施する。
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