研究課題/領域番号 |
22K19868
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
齋藤 敬 京都大学, 総合生存学館, 教授 (00386640)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | プラスチック / 分解 / 海洋 |
研究実績の概要 |
一般的にポリマーの分解速度が遅い一つの要因として、その長い鎖状の構造が挙げられる。ポリマーは化学結合で連続的に繋がった構造を有しているため、分子量の小さいフラグメントに分解しようとすると、数多くの結合を切断する必要が生じる。そこで本研究では、分子量の小さいプラグメントを可逆的な結合で連結し長い鎖状のポリマー構造を形成し、その可逆反応部位を結合・分解させ、ポリマーを分子量の小さいプラグメントに戻すことで、分解速度が速いポリマーを合成することを目的としている。特に、一般の使用条件では分解せず安定であるが、海水等の特殊な条件では「選択的に」急速に分解する一連のポリマーの合成を目指す。 まずは生分解性ポリマーに焦点をあて、分子量の小さい生分解性プラグメントの合成を目指した。具体的には、可逆反応部位を末端に有する生分解可能な短い低分子量体ユニットを合成するため、環状ケテンアセタールの開環重合と、開環重合用のRAFT剤の開発を実施した。特に特殊な構造を有するRAFT剤の合成に関しては、合成条件、分離条件が難しく難航しており、他の方法を検討中である。また海水での分解条件を検討するため、異なる地点の海水の分析も実施した。 さらに海水に含まれる成分以外での分解条件として、光による分解を検討し、光応答性のポリマーに関しては、低分子量体と高分子量体を可逆的に変化させることが可能であることを見出した。具体的には、2+2光環化付加反応部位等の光可逆反応部位を有する直鎖側の鎖に光を照射することにより可逆的にその構造が変化することを明らかとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
開環重合用のRAFT剤の開発に遅れが生じているが、その他の方法で分解性ポリマーの合成を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き可逆反応部位を有するRAFT剤の開発とそれを用いた環状ケテンアセタールの開環重合を進めていく。同時進行で海水の成分以外でも分解可能な、海洋分解性ポリマーの開発も進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
予想より合成が遅れているため、それに用いる試薬・器具等の購入が本年度は必要でなくなったため。次年度に試薬・器具を購入するために使用する。
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