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2023 年度 実施状況報告書

緻密な分子設計により調製した金属カチオン担持型吸着剤によるアニオンの選択的除去

研究課題

研究課題/領域番号 22K19872
研究機関佐賀大学

研究代表者

大渡 啓介  佐賀大学, 理工学部, 教授 (70243996)

研究分担者 川喜田 英孝  佐賀大学, 理工学部, 教授 (30367114)
成田 貴行  佐賀大学, 理工学部, 准教授 (30423560)
研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2025-03-31
キーワードレアメタルリサイクル / アニオン除去 / イオン交換 / ジホスホン酸型吸着剤
研究実績の概要

小型家電や電子基板から成る都市鉱山からのレアメタル回収のためには、忌避イオンと呼ばれる共存する有害アニオンの選択的な除去が必要である。カチオンと異なりアニオンに対する選択的な分離剤は限定的である。これはアニオンに有効な官能基が限定的であり、サイズ認識などの機能を付与しづらいためである。本研究では緻密に分子設計を行った。配位子は多価カチオンを強固かつ選択的に取り込み、その際に電荷を中和せず配位数も満たさないことで余剰の電荷によりアニオンを吸着する『金属カチオン担持型アニオン吸着剤』を提案した。この際、選択するカチオンは特定のアニオンと強い相互作用を示す。昨年度に引き続き、金属イオンに対して超強力な錯形成能を有することが期待される有機ジホスホン酸配位子を合成した。錯形成する金属イオンの電荷を不完全に中和し、余剰の正電荷でアニオンを吸着するため、有機ジホスホン酸配位子には立体障害の高い側鎖を導入した。多価金属イオンとして3価の希土類金属イオンや第二鉄イオン、4価のイオンとしてジルコニウムイオンについての抽出挙動について検討した。また、研究分担者に協力いただき有機ジホスホン酸配位子を多孔性樹脂に含浸した含浸吸着剤を合成し、リン酸の導入、水への溶解性、耐久性などの各種物性を調べた。また、希土類金属イオンの吸着挙動についても検討を行った。さらに、ビニル安息香酸を乳化重合して樹脂化した後、酸クロ化し、ジホスホン酸を導入した乳化重合型樹脂を合成し、含浸吸着剤と同様に、リン酸の導入、水への溶解性、耐久性などの各種物性を調べた。また、希土類金属イオンの吸着挙動についても検討を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画に基づき、ジホスホン酸型の抽出試薬の合成と抽出挙動の検討、さらに抽出試薬を多孔性樹脂に含浸することによって、およびビニル安息香酸の重合によって得られた樹脂にジホスホン酸を導入することで得られたジホスホン酸型吸着剤の合成と物性評価を行った。また、多価金属イオンの吸着挙動について検討しており、順調である。しかし、開発したジホスホン酸配位子に水溶性が見られ、含浸型樹脂と同様に作成する電界紡糸法による吸着剤の開発がやや遅れている。また、アニオンに対する選択性の評価などについて今後行っていく予定であり、問題点なども明確であるため、おおむね順調に進展している、と評価できる。

今後の研究の推進方策

開発したジホスホン酸配位子に水溶性が見られたため、疎水性を向上したジホスホン酸配位子を行い、電界紡糸法による吸着剤の開発を行う。開発した吸着剤により、これまでと同様に多価金属イオンの吸着挙動について検討するとともに、さまざまなアニオンの吸着について検討し、アニオン選択性の評価を行っていく。ビニル安息香酸の乳化重合法による吸着剤の開発も引き続き行っていく。また、乳化重合法によって開発したジホスホン酸型吸着剤は元の抽出試薬よりも金属の錯形成能が弱いことが明らかとなった。この原因についても解明する。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍のために予定していた国際会議に申し込むことができず、海外出張旅費の予定執行額より大幅に減額した。ただし、研究について推進し、当初の額との差額はかなり減少した。次年度への持ち越しについて有効に使用させていただく。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Li-selective calix[4]arene with trialkyl-monoacetic acid groups: Effect of three alkyl branches and t-octyl groups at p-position on selectivity for Li extraction2024

    • 著者名/発表者名
      K. Ohto, H. Sadamatsu, T. Hanada, S. Morisada, H. Kawakita
    • 雑誌名

      J. Incl. Phenom. Macrocycl. Chem.

      巻: 104 ページ: 1-13

    • DOI

      10.1007/s10847-024-01233-5

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 大環状化合物やバイオマス廃棄物を利用したさまざまな吸着剤の開発に関する研究2023

    • 著者名/発表者名
      大渡啓介
    • 雑誌名

      日本イオン交換学会誌

      巻: 34 ページ: 23-33

    • DOI

      10.5182/jaie.34.23

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 希土類相互分離のためのジアミド系抽出試薬と長鎖オキサミン酸による希土類金属抽出の協同効果2023

    • 著者名/発表者名
      宮内咲、渋谷彩美、古郷宏明、北村二雄、森貞真太郎、川喜田英孝、大渡啓介
    • 学会等名
      第60回化学関連支部合同大会
  • [図書] 吸着技術の産業応用 ー基礎知識・吸着剤の特性・技術応用事例ー2023

    • 著者名/発表者名
      大渡啓介
    • 総ページ数
      16
    • 出版者
      情報機構
    • ISBN
      978-4-86502-244-5
  • [備考] 佐賀大学化学工学研究室

    • URL

      http://chemeng.chem.saga-u.ac.jp/index.html

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公開日: 2024-12-25  

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