本研究は、近赤外光に応答して発熱(フォトサーマル効果)するナノ粒子を開発し、味覚にも関連する細胞膜上の温度感受性イオンチャネルを活性化することで、COVID-19による味覚障害を回復させる治療法に向けた基礎的知見を得ることを取り組んだ。作製したフォトサーマルナノ粒子は、優れた生体適合性と生分解性、フォトサーマル効果を示した。また、細胞膜上に存在する代表的な温度感受性イオンチャネルであるTRPV1に結合し、近赤外光照射下において神経細胞へのナトリウムイオン流入の促進と膜電位の上昇が観察された。これらの結果から、本研究で開発したナノ粒子は、味細胞を含む神経細胞の活性化に適用できると期待できる。
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