研究課題/領域番号 |
22K19916
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田畑 泰彦 京都大学, 医生物学研究所, 教授 (50211371)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | ミトコンドリア / オルガネラ移植 / 細胞手術 / 細胞機能 / 移植アシスト材料 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、細胞機能を高める1つの方法論として、細胞のエネルギ―産生オルガネラ(細胞内小器官)であるミトコンドリアを移植するための細胞手術法の実現である。この目的のために、生物活性を維持した状態でミトコンドリアを細胞に移植するための移植アシスト材料をデザイン、創製する。本研究の独創的および挑戦的な点は、機能をもつミトコンドリアを細胞内に移植、細胞内でそのエネルギー産生を行わせることで細胞の生物機能を高めることである。得られる研究成果により、細胞機能を高めるための新規な方法論が確立でき、再生医療分野に大きく貢献できると信じる。本年度は、ラット心筋細胞(H9CJ)からミトコンドリアを単離した。単離ミトコンドリアの活性を黄色テトラゾリウム塩(MTT)法およびアデノシンー3-リン酸(ATP)産生により評価したところ、活性のあるミトコンドリアの単離ができていることがわかった。細胞親和性のゼラチンあるいはデキストランにスペルミンおよびスペルミジンなどの正電荷をもつ残基を化学導入し、ミトコンドリア移植アシスト材料を作製した。単離ミトコンドリアとカチオン化高分子とを混合することで、移植アシスト材料でミトコンドリア表面をコーティングした後、ミトコンドリア活性を評価したtところ、活性が維持されていた。次に、コーティングミトコンドリアをH9CJ細胞と培養することで細胞へのミトコンドリア移植を行った。ミトコンドリアは細胞に取り込まれた。カチオン化高分子とミトコンドリアの混合比が、その取り組み(ミトコンドリア移植効率)に影響を与えていることがわかった。ミトコンドリアを細胞に移植を行った後の細胞の生物活性を細胞の生存および細胞増殖で評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画に従い、ミトコンドリアの単離、ミトコンドリア修飾のためのカチオン化高分子の作製、ミトコンドリアの修飾、カチオン化高分子修飾ミトコンドリアの細胞内への取り込み、および細胞の生存率、増殖率などの成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に得られたカチオン化高分子修飾ミトコンドリアの細胞内への移植効率を上げることを目的として、カチオン化高分子のデザイン、修飾方法の工夫を行う。加えて、カチオン化高分子修飾ミトコンドリア移植細胞の生物機能について、詳しく評価する。移植アシスト材料の種類、そのミトコンドリアとの混合比や混合条件、ミトコンドリア移植細胞の条件などが、元今度リア移植効率に与える影響について調べる。引き続き、ミトコンドリア細胞に移植を行った後の細胞の生物活性化を評価する。細胞マトリクス産生などに関係する因子を生化学的、分子生物学的に評価する。ミトコンドリア移植法およびその効率が細胞機能に与える影響について調べていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の取りまとめに時間を要したため
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