研究課題
補助事業期間中に膵島集合体の構築を目標とし、本年度は、外表面にマイクロウェルを有する複合多孔質足場材料(以下、「マイクロウェル複合多孔質足場材料」と表記する)を作製し、その構造および機能を評価した。①マイクロウェル複合多孔質足場材料の作製とキャラクタリゼーションを行った。まず、ポリテトラフルオロエチレンフィルムの表面に微小水滴を噴霧し、これを凍結させることにより、半球状の氷微粒子をフィルム表面に形成させた。また、別のフィルム表面に、生体吸収性をもつ支持体である乳酸‐グリコール酸共重合体(PLGA)メッシュを置き、その上に型枠を載せた。この型枠の内側にブタ由来アテロコラーゲンI水溶液水溶液を注入し、その後、コラーゲン水溶液の液面に上記フィルムの氷微粒子付着面を接触させ、そのまま凍結した。このコラーゲン/氷微粒子コンストラクトを凍結乾燥し、その後、1-エチル-3-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミドで架橋し、さらに未反応基をグリシン水溶液でブロッキングした。本方法を用いて、ウェルの大きさが異なる3種類のマイクロウェル複合多孔質足場材料、およびコントロール複合多孔質足場材料(マイクロウェルをもたないもの)を作製した。②①で作製したマイクロウェル複合多孔質足場材料で観察したところ、氷微粒子の大きさを反映したマイクロウェル構造が確認された。さらに、各マイクロウェルの内側には数μm以下の無数の空孔が存在することがわかった。③複合多孔質足場材料による細胞集合体の形成を調べた。①で作製した各複合足場材料にラット由来膵β細胞(RIN-5F細胞株)を播種し、培養7日後に顕微鏡で観察した。いずれの足場材料でも細胞は凝集していたが、コントロール足場材料の場合と比べ、マイクロウェル複合多孔質足場材料で培養した細胞はより三次元的に凝集していた。
2: おおむね順調に進展している
マイクロウェル複合多孔質足場材料を作製し、本足場材料を用いて膵β細胞を三次元的に集合させることが本年度の目標であるため。
本年度、マイクロウェル複合多孔質足場材料を作製し、本足場材料を用いて膵β細胞を三次元的に集合させるというコンセプトを確立することができた。今後、インスリンの分泌について、リアルタイム定量PCR法による遺伝子発現解析、ELISA法による他タンパク質定量により評価する。これらの結果を複合多孔質足場材料のマイクロウェルの寸法などの設計パラメーターに反映させ、最適化をはかる。
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