本研究では、ゼラチン多孔質材料の外表面に形成させたマイクロウェル内に膵β細胞の集合体を形成させること、細胞集合体のインスリン分泌を促進させることに成功した。原料にゼラチンを用いることで、細胞集合体に過度の機械的ストレスを与えずに、その構造と機能を保持できると考えられる。生体内で膵島の構造と機能を保持する本質的な因子を抽出し、それらを足場材料の設計に反映させた点に本研究成果の学術的意義がある。1967年に膵島分離法と膵島移植が報告されて以来、世界中で膵島移植が行われている。将来、本マイクロウェル多孔質足場材料を用いた革新的な糖尿病治療が実現することが期待され、本研究成果の社会的意義は大きい。
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