研究課題
匂い物質は、固有の脳神経回路を活性化し、行動・情動・生理変化を誘導する。どの匂い物質が、どの脳領域を活性化するかというパターンを明らかにできれば、匂いー脳活性化パターンー行動・情動・生理変化の三者の対応付けが可能となる。対応付けにおいては、どの脳領域が活性化されるのかを、高い空間分解能に基づいて、正確に同定する必要がある。生体において脳の活性化領域を調べる最も有効な手法に、機能的MRI(fMRI)がある。一般的なBOLD法では、神経発火にともなって生じる、毛細血管網における血流増大による磁場変化を捉える。しかし、神経発火以外に麻酔や飲酒等による血管の拡張・収縮の要因がある場合、MR信号が神経発火と相関せず、活性化部位の同定が困難になる。一方、近年、研究分担者らは、活性化にともなう神経細胞の膨潤を、水の拡散のしやすさに基づいて捉える DfMRI(Diffusion fMRI)法を開発した。神経細胞そのものを観測するため、BOLD 法で懸念される神経発火以外の要因にとらわれず、活性化部位を正確に同定できる。また、MR信号応答が速く、定常状態に戻るのが早い。本課題は、匂いー脳活性化パターンー行動・情動・生理変化の対応付けを念頭におき、匂い刺激によるマウスの脳活性化部位を DfMRI 法にて正確に同定するシステム構築を目的とする。本研究により、DfMRI 法を利用するための研究環境を整備した。コンピュータプログラム制御の匂い曝露装置を用いて高精度で周期的に嗅覚刺激を与え、独立成分解析を組み合わせることにより、嗅覚応答を捉えることに成功した。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
Proc. Intl. Soc. Mag. Reson. Med.
巻: 31 ページ: 4022