2023年度は、開発したポリアミンナノ粒子の作用機序を明らかにすることを目的として、マウス潰瘍性大腸炎モデルにおけるターゲティング機能と抗炎症機能を評価した。in vivoイメージングシステムを用いた蛍光観察によって、経口投与されたポリアミンナノ粒子はモデルマウスの炎症部位である大腸に集積することが示された。また、ポリアミンナノ粒子は潰瘍性大腸炎モデルマウスの体重減少を抑制し、組織学的評価においても、炎症を抑制することで治癒を促進することが示唆された。研究期間全体を通じて、本研究では、ポリアミンナノ粒子の細胞適合性と抗炎症能を評価し、それらを併せ持つポリアミンナノ粒子の探索を実施した。また、ナノ粒子の粒子径やゼータ電位、活性酸素種スカベンジング能を定量し、マウスマクロファージに対する抗炎症効果について明らかにした。これらの結果より開発したポリアミンナノ粒子は、潰瘍性大腸炎に対して炎症抑制による治癒効果を示すことが明らかとなり、様々な炎症性疾患への適用が可能になると期待される。
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