本研究は、西晋期から東晋期にかけて文学史上に出現した「玄言詩」の隆盛に着目し、それを直前の魏晋交替期に盛行していた「魏晋玄学」の思想史的文脈に接続させようとする取り組みである。本研究期間においては、具体的には(1)西晋の何劭による玄言詩と魏晋玄学理解、(2)『周易』注釈史における三国魏の王弼と東晋の韓康伯による解釈の相違点、そして(3)東晋のユ闡による玄言詩と『荘子』『周易』解釈について取り上げ、研究成果を発表してきた。これにより、従来必ずしも密接に結びついてこなかった魏晋時代の思想史と文学史の汽水域を解明し、両者をなめらかに疏通させながら総合的に把握するための視座の一端を提示した。
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