研究課題/領域番号 |
22K19974
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研究機関 | 大谷大学 |
研究代表者 |
平田 公威 大谷大学, 文学部, 助教 (50962255)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | イェルムスレウ / 二十世紀後半フランス思想 / 言語論 / 記号論 / 構造言語学 / 構造主義思想 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ルイ・イェルムスレウの言語論に照らすことで、20世紀後半のフランス思想の展開を体系的に研究することにある。研究計画では、2022年度は、(1)イェルムスレウの言語論の特徴を整理するために、構造言語学の学説との比較研究と、(2)イェルムスレウ言語論の構造主義的な受容がもつ思想的意義の研究としていた。 2022年度は、この計画のもとで研究を遂行し、以下の成果を得た。まず、イェルムスレウ言語論を、とくにアンドレ・マルティネの構造音韻論と比較検討することによって、イェルムスレウの「表現」と「内容」の対概念がもつ特異性について研究することができた。つぎに、イェルムスレウ言語論の構造主義的な受容について、とくにイェルムスレウをフランス哲学・思想界へと紹介しつつ自らの構造主義的な仕事に応用したロラン・バルトに着目して研究し、イェルムスレウの「共示connotation」という概念と「媒入catalyse」という言語学的操作がもつ思想的意義について研究することができた。 以上の研究成果にかんしては、「イェルムスレウとフランス現代思想」と題したシンポジウムを開催して報告を行った。 さらに、以上の研究成果に加え、上述のシンポジウムにおいて、ジャック・デリダとフェリックス・ガタリの専門家をそれぞれ登壇者として擁立し、議論を交わすことができた。これにより、イェルムスレウ受容が構造主義以降の思想にもたらした影響にかんする知見を得ることもできた。この成果は、2023年度に計画していた、構造主義思想以降のイェルムスレウ受容についての研究に資するものである。 以上の通り、2022年度は、当初の目的と計画に沿った研究を行い、2023年度の計画にも一部着手することができ、研究進捗状況はおおむね順調である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の「研究実績の概要」で示している通り、当初の研究目的と計画に沿って、イェルムスレウ言語論の特異性と思想的意義を解明し、20世紀後半のフランス思想の、とくに構造主義的な受容について究明することができたためである。また、上記のシンポジウムを主催し、イェルムスレウの思想的意義について、20世紀後半のフランス哲学の研究者と知見を共有しあい、今後のイェルムスレウとフランス哲学・思想研究のための土台づくりを行うこともできたので、「おおむね順調に進展している」と言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、研究計画に沿って、イェルムスレウの言語論と照らしながら、20世紀後半のフランスの哲学者・思想家のテクストの読解を基本に研究を行っていく。2023年度は、研究計画にある通り、イェルムスレウが構造主義以降の思想に与えた影響を解明する研究を行い、その成果の発表を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた電子機器類等の購入が遅れてしまったため。使用計画としては、当初予定の物品類の購入等にあてる。
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