本研究では、ホワイトヘッドが「思弁哲学」と呼ぶ哲学的方法論の詳細とその形成過程を、19-20世紀の科学哲学との関連から明らかにすることを試みた。具体的には、まず、ホワイトヘッドが、C. D. ブロードの議論を批判的に参照しながら、自身の「思弁哲学」を、われわれの想像力を活性化しうる領域横断的な仮説構築のための方法として定義していることを明らかにした。さらにホワイトヘッドの「仮説」観にはウィリアム・ヒューエルの仮説観からのダーウィンを介した間接的な影響が考えられることを示した。加えて、20世紀の実在論と観念論の議論を検討しながら、ホワイトヘッドが属していた知的状況を整理した。
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