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2022 年度 実施状況報告書

「互御影」様弘法大師像の諸作例に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K19982
研究機関和歌山県立博物館

研究代表者

島田 和  和歌山県立博物館, 学芸課, 学芸員 (20967327)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2024-03-31
キーワード仏教美術 / 空海 / 高僧 / 御影 / 八幡信仰
研究実績の概要

本研究においては、「互御影」様弘法大師像の諸例について資料収集を行い、まず、現存作例数の把握に努めるとともに、実査にもとづく諸作例の規模や制作時期の傾向、その活用のされ方などの基礎的な研究を行うことを目的とする。
初年度は、遠隔地への実査を効率的に進めるため、作例の所在確認や史料上に見出される関連事績の捜索に重点を置いた。特に所在確認に困難が伴うことが予想される未紹介資料や未指定文化財について、古記録、地誌類、戦前戦後の著書や紀行文等を活用し、作例の博捜に努めた。もとより中世前半期に遡るような古本が新たに見出されるわけではないものの、八幡信仰にかかわる独自の伝来情報を伴う事例も見受けられ、図像受容の様相がうかがわれる点で重要である。画像等の手がかりが無い場合も多く、文化財逸失防止の意味でも本研究で実査の遂行を目指したい。
また、新出作例の実査として、慶應義塾大学所蔵本の熟覧調査を行った。同本は鎌倉時代に遡る在銘作品として重要であり、他作例との比較において様式検討の基準となる。並行して同本墨書銘記に関する文献・史料調査を進め、制作の契機や背景の考察を行った。従来の研究では祖本の存在をめぐる神護寺や鳥羽・勝光明院宝蔵への関心や事績が注目されてきたが、現存作例の伝来状況を把握することで、門跡寺院における模写のありようや関東の八幡信仰をも考慮する必要があることが明らかになる。調査の成果をまとめ、論文として発表を行う準備を進めていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究当初より特に重要な資料と目していた作例の捜索が困難を極め、さらに元所在地も遠方であったため実査計画に多少の影響があった。また、史料および作例博捜の過程で、作例とともに同所蔵の未公刊史料等を閲覧する必要が生じる可能性を考慮すべきと判断し、実査準備期間の調整を行った。

今後の研究の推進方策

作例の所在確認を進める中で、遺憾にも所在不明とせざるを得ない事例が存する一方、従来の研究や文献で言及されてこなかった作例を新たに把握したこともあり、実査計画に変更が生じている。当初の計画よりも実査予定の作例数と所在地が多様化しているため、効率的に実査を行い、当初の目的を遂行しつつ、本研究が地域の未紹介資料の発掘にも寄与するよう努める。

次年度使用額が生じた理由

主に旅費の使用計画に変更が生じたため。資料の所在確認を進める過程で、資料の現存が確認できない、あるいは新たに実査すべき資料が見出されるなど、実査訪問先に変更があった。計画を再調整したため実査の実施を次年度に繰り越すこととした。結果として、実査訪問先と所要旅費に大幅な変動は無いと想定されるため、概ね当初の予定通りに旅費を用いて資料調査を実施する見込みである。

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公開日: 2023-12-25  

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