本研究は中国語の内容を研究成果に含める予定であった。しかし、アイヌ語の時間表現の記述が中国語と比べてあまりにも少ないため、中国語の視点からアイヌ語の時間表現に関わる現象を主に記述することにした。初年度には、中国語で継続形式と完了形式が共起しないという現象からヒントを得て、アイヌ語の継続形式「kor an」、「wa an」と完了形式「a」が共起する意味を記述した。次年度には、アイヌ語と同様に、テンスを持たない中国語で時間副詞が数多く存在することからヒントを得て、アイヌ語の時点を表す時間副詞に焦点を当て、その記述を行った。以上の研究成果はすべて学会で発表し、また論文として学術雑誌に投稿した。
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