本研究は日本語の文章における漢字使用の実態を解明するための近現代小説コーパスとして芥川龍之介賞受賞作品(芥川賞作品)のコーパスを構築することを目的としたものである。その主要な成果は21世紀以降の新しい作品を中心としてコーパスを試作したことである。また,コーパス構築に当たっては語彙調査に関する未解決の問題として知られているように読み方の定まらない語が問題となることから既に提示した暫定的な読み方を定める方法について本研究では同時代の資料に幅広く適用し得る汎用的な手順として再整理した。更に本研究では芥川賞作品のコーパス構築の方法について古典語のコーパス構築の事例に適用し,その汎用性の高さを実証した。
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