本研究の成果の学術的・社会的意義は、①惟然の作品を誰でもアクセスできる形で公開したこと、②惟然の作品が彼の生き方の思想(「軽み」「無分別」「乞食」「貧楽」)を多分に反映したものであり、その点に芭蕉から近現代俳句までを繋ぐ文学史的意義、人間が生きる上での俳諧の本質的意義が存することを示したことにある。すなわち本研究の成果は、従来の「俳風」至上主義の俳諧史を「生き方としての俳諧」という視点から再構築する基礎となるものであり、俳諧作品の本質的価値、現代的意義の解明に対しても重要な意義を有するものである。
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