研究成果の概要 |
本研究では, 声の高さに注目する知覚訓練によって日本母語話者が韓国語の破裂子音 (/t*/, /t/, /th/) の聴き分けをより効果的に習得できるかを検討した。さらに, 訓練を通じて, 声の高さに関連する神経活動が韓国語母語話者に近づく形で変化するかを調べることで, 声の高さに注目する訓練の有効性を生理学的観点から示すことを試みた。その結果, 声の高さに注目するよう助言を受けた群と受けなった群の両群とも, 訓練を通じて韓国語母語話者と同程度に正答率が上がることが示された。さらに, 脳波分析では, 声の高さの遷移に応じて生じる脳神経活動の位相同期度の変化を観察することができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本語母語話者は韓国語の破裂子音の聴き分けを習得することは困難であることが知られている。本研究の結果は, 音声刺激と訓練次第では日本語母語話者も聴こえてくる破裂子音の発音を三つのカテゴリーに分けて習得することができることを示唆する。また, 本研究では, 破裂子音を聴き分ける時の下降または上昇する後続母音の周波数の遷移の神経表現を観察することができた。この結果は, 脳波の時間周波数解析によって発音習得の程度が評価できる可能性を示唆しており, 外国語学習者や子どもの発音習得度の評価のための研究につなげられると考えられる。
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