この研究の学術的意義は、1960年代から70年代にかけてのフランスの作家たちがテクストの上での創作活動のみで活動していたわけではないという前提のもと、メディア創作とテクスト上での創作の相互性を詳らかにした点にある。加えて、ラジオでの創作を扱うという姿勢はフランスでもあまり進んでいない作家たちのラジオ研究の一助となるものである。そして、テクストとメディアを互いに独立して関係のないものと扱わない手法は、純粋なテクスト研究やメディア研究の枠に作家の活動をとどめないものであり、その点にも学術的意義があるといえる。
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