本研究では豊富な誤用データを利用し、他動詞、非能格動詞、非対各動詞という統語的動詞分類法に基づく誤用の傾向とメカニズムについて考察した上で、中国語の受身文との相違を考慮に入れた誤用のメカニズムを探った。このような分析のほうが、個別例を対象に行われた研究や動詞の何十種類もある具体的な意味による誤用の分類より、学習者にとって分かりやすく一般化しやすい説明になる。また、母語干渉の可能性が高い誤用とそうではない誤用を明確にさせたこと、日中両言語の受身の非対応現象が生じるメカニズムを解明したことで、日本語教育現場にも中国語教育現場にも実用性が高い研究成果になると考えられる。
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