当初の研究課題に関しては,2023年4月に「オウィディウス『恋の技術』における「環」のモチーフ」と題した研究発表を京都大学西洋古典研究会例会において成果発表を行なった.ラテン文学にしばしば見られる「世界(ないし環)」(orbis)と「都市」(urbs)との言葉遊び的関連付けや,作中に見られる円環構造(ring-composition)といった「環」に関連するモチーフが,「(円環)世界・都市・円形劇場」という三重円を舞台として行なわれる「遊戯としての恋愛」という本作の核心的アイディアの展開に寄与していることを明らかにした.上記の口頭発表後,この成果は論文にまとめたうえで,2023年末に投稿し,本実績報告記述時点で査読中である. また,当初の研究課題の他,ルーカーヌス『内乱』第8巻の書評を行ない,『西洋古典学研究』71号に掲載した.
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