研究課題/領域番号 |
22K20023
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
蒲 こうえん 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 招へい研究員 (20967781)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | 古今集時代 / 和歌 / 漢文学 / 和漢比較 |
研究実績の概要 |
本研究では、万葉集には見られず、古今集時代の和歌には新しく詠み込まれている歌材(以下は「新歌材」とする)を研究対象とする。万葉集にないため、「新歌材」は漢詩文全盛の中で漢詩文の題材・発想・表現などを吸収して形成されたと至極当然のように漢詩文からの一方的な影響ばかりが注目されているが、本研究は万葉和歌と漢文学の影響を配慮しながら、「新歌材」の形成過程を跡づけることにより、「新歌材」形成のメカニズムの多様性を解明するものである。
今年度は、古今集時代の「新歌材」の全体像を提示するために、主に宇多朝から朱雀朝までを基本範囲とし、現存する古今和歌集、私家集25集、私撰集4集、歌合39回を研究対象として、「新歌材」を収集した。その中で、具体的に古今集代に新たに登場してくる「白菊」と「白き月光」に着目し、それぞれの形成過程を跡付けてみた。その成果を和漢比較文学大会・日本文芸研究会で発表した。 古今集時代の「新歌材」の形成過程には、漢文学全盛の中で紀貫之を中心とした撰者時代の歌人たちによる歌ことば創造への模索が反映されている。それを通して、古今集時代の和歌は如何に漢文学と距離を取りながら、「国風的」という独自的世界を構築していくのかが窺える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
古今集時代和歌の本文異同及び系統分析に、想定より時間がかかり、研究成果の論文化が予定より若干遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、令和5年度は、古今集時代和歌の本文異同に気を配りながら、「新歌材」を収集、整理する。古今集時代の「新歌材」が具体的にどのように詠まれているのかという和歌の詠法に基づき、上代和歌からの展開を見据えた上で、漢文学と和文学双方の影響を究明し、その形成に影響を及ぼす他の要因を剔抉する。その中で、特に染色関連表現に注目する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末で購入予定の書物がスケジュール関係で、購入できなかったため、令和5年度に購入する予定です。
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