2023年度は、前年度の7名につづき、新たに英語学習者6名の英語発話を、5回に渡って録音し、自然な英語式のいい淀み方を身につけられるかを調査した。 前年度と同様、1回目の録音は、研究の目的を明かさず実施した。2回目の録音開始前に研究目的を明かし、2・3・4回目の録音はトレーニングセッションとして、必要に応じて自然な英語の非流暢性マ―カーを使うよう指導を行った。例えば、「えー」の代わりに"um"や "well"を、「なんて言ったらいいんだろう」の代わりに"How do I say?"を使うなど、英語母語話者の発話に見られた非流暢性マーカーを使用するよう促した。前年度の知見を活かし、より出現度の高い英語の非流暢性マーカーに絞って、それらを学習者が使いこなせるよう指導を行った。3回のトレーニングセッション終了後、効果を確かめるため、5回目の録音を行った。録音終了後、1回目と5回目の学習者による英語音声を、英語教員である英語母語話者4名に聞かせ、1から5のスケールで評価するよう求めた。なお、録音に使用したタスクは、「質問("Tell me about your sprig holiday." "Do you have any bad habits?"など)に英語で答える」、「4コマ漫画を英語で説明する」「童話(『三匹の子豚』『白雪姫』など)を英語で要約する」であった。 分析の結果、以下の結果3点が得られた。1回目の録音と比較すると、5回目の録音では、①日本語非流暢性マーカーの使用が、全ての話者において減少し、②英語非流暢性マーカーの使用が、大部分の話者において増加した。③1回目より5回目の評価が顕著に向上した2名は、日本語非流暢マーカーの使用が大きく減った学習者であった。
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