研究課題
研究活動スタート支援
本研究は、フランス・ロマン主義時代における死生観に焦点を当て、19世紀後半の時代の、超自然的現象への関心の高まりや精神世界の探求の基盤となった、文化的・思想的背景を捉えなおすことを目的とした。文学作品や同時代の論評の分析から、ロマン主義時代の思想と、第二帝政期の文学・思想・社会現象との連続性を明らかにすべく努めた。国際シンポジウムでの発表や、論文として、成果を公表することができた。
十九世紀フランス文学
19世紀前半の時代にロマン主義文学とともに広まった「死後の生」という思想が、19世紀後半に至り、伝統宗教としてのカトリック、理神論、汎神論、新興の「宗教的なもの」としての交霊術やスピリティスムと、複雑な位相で結びつきながら、既存の宗教とは異なる、新たな宗教性を帯びた作品として結実していく過程を考察した。19世紀フランス全体を視野に入れた、宗教・スピリチュアリティ・文学の関係性を考える上での端緒を開いた。