研究課題/領域番号 |
22K20034
|
研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
小野原 彩香 立教大学, 社会情報教育研究センター, 助教 (70792381)
|
研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
キーワード | Japanese Accent / Game Theory / Dictator Game / Trust Game / Coordination Game / in-group bias |
研究実績の概要 |
本研究では、アクセントの生態的な機能・役割を発達初期に会得される「原始的な協力行動」の「手掛かり」と仮定し、ヒトが何らかのアクセントを聞いた時に、それを手掛かりにして、協力行動を行うかどうかを日本語話者を対象に実験する。本研究の目的は、日本語のアクセントにおいて、アクセントが内集団バイアスの道具として機能しているかどうかを明らかにすることである。 実験協力者に自らと「A. 同じアクセント」と「B. 違うアクセント」の2種類を聞かせたのち、3種類のゲーム理論内で、A、Bのどちらへ協力(協調)行動を取るかを計測する。アクセントが協力行動の手掛かりとして機能しているのであれば、日本列島に数多く存在するアクセント型は、ヒトの原始的な自然選択による最適化のための協力行動の結果であると結論付けることができる。 具体的には、協力行動の量的指標となるゲーム理論を用いた心理実験を行う。実験協力者に自らのアクセントと、「A. 同じアクセント」と「B. 違うアクセント」の2種類を聞かせたのち、3種類のゲーム理論(独裁者ゲーム、信頼ゲーム、調整ゲーム)内で、A、Bのどちらへ協力(協調)行動を取るかを計測する。仮にアクセントが協力行動の手掛かりとなっているのであれば、A. 自分と同じアクセントへの協力行動をする個体の割合が高くなる。このようにして、アクセントが内集団への協力行動の手掛かりとなっているかの判断を行う。 もし仮に、アクセントが協力行動の手掛かりとして機能しているのであれば、日本列島に数多く存在するアクセント型は、ヒトの原始的な自然選択による最適化のための協力行動の結果であると結論付けることができる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目には、当初の計画通り、調査地の設定、それにあわせたアクセント読み上げ表(あるいは文章)の作成、オンライン実施のためのプログラムの組み直し、プレ調査(2018年実施済)の音声整理を行った。以上のことから(2)おおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
2年目には、調査、データ整理、プレ分析を行い、速報を国内外の学会で発表し、関連分野の研究者との意見交換を行う。 本研究では特殊な機材や施設は使用しない。研究資料については自ら収集する。対面では調査を実施せず、インターネット上の特定のページに設定した問題に回答する形式や、オンラインビデオ会議ツールの使用などによって、実験を行っていくことを計画している。2018年に行った調査においても、対面ではあったものの、実験自体は申請者が作成したプログラムで行った。このため、後は、実験協力者の保持するアクセント型判定に使う音声を入力するフェーズと付帯質問(属性情報、外集団への印象など心理尺度を用いた質問)への回答フェーズをGoogle forms など作成が比較的容易なプラットフォームを利用して作成する。 なお、実験においては、あらかじめ実験内容を協力者に提示し、それに対する協力者の同意を、書面上など後から同意の撤回があった場合などに対応できるよう明確な形で得た上で実施する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
購入したPCに予め搭載しているメモリの容量を少ないものにしたため。差額で次年度に追加のメモリを購入予定である。 また、今年度の使用計画としては、当初の計画通り、消耗品費として、調査用のヘッドフォン、マイク、ICレコーダー、調査、研究用の文献として言語学関連書籍の購入を予定している。旅費として、調査出張費、謝金として、調査協力者への謝金、その他の明細として、査読付き論文の投稿料・オーブンアクセス化料を予定している。
|