研究課題
研究活動スタート支援
鎌倉時代成立の語源辞書『名語記』の掲載する語(掲出語)を『色葉字類抄』と対照した。その結果、『名語記』の掲出語全体(巻七を除く)の56%が『色葉字類抄』と共通するか部分的に一致するという結果を得た。また、巻二から巻六までの語彙の重なり方、漢字表記の合致の割合の傾向が、増補したそれ以降の巻と相違することがわかった。『名語記』の本文校訂については、宮津市前尾記念文庫を訪問し、翻刻の校訂作業を進めた。
国語学(日本語学)
『名語記』の掲載語彙は、鎌倉時代当時の言語を反映していると評され、また、俗語が多く含まれるとも言われるが、その実態は明らかではなかった。かつて拙稿において『名語記』が『色葉字類抄』を参照していることを指摘したが、今回の研究で、掲出語全体の半数以上が『色葉字類抄』と共通していることがわかった。これは『名語記』の掲載語彙の性質を考える上での手がかりとなることだろう。