研究課題
研究活動スタート支援
本研究では、豊臣秀吉の伝記的資料である太閤記物散文作品群の諸書・諸本を収集し、権力者との関係に注目しつつ分類・整理して体系化することを目指した。特に本研究では、『太閤記』を中心に取り上げるとともに、小牧・長久手の戦い等、秀吉が活躍した戦に注目して『絵本太閤記』や『絵本豊臣勲功記』など、近世後期の太閤記物も検討に含める形で考察した。最終的に、近世期における太閤記物の展開を、近世前期太閤記物を中心に辿り、文学が政治権力等、社会的要因によって変容するさまを明らかにした。
日本近世文学
本研究は従来歴史学的考証の視座からのみ構築されてきた〈太閤記物〉の基礎研究を文学的視座から捉え直し、初めて体系化しようとする点に学術的意義がある。豊臣秀吉は大河ドラマでも頻繁に取り上げられるなど、社会的に関心の高いテーマであるが、本研究は秀吉のイメージが定着・展開した近世期の太閤記物を改めて総合的に整理・分析するものであり、社会的訴求力が高いものと考える。