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2023 年度 実施状況報告書

1920年代のアメリカ領サモアにおける反統治運動:海外地域との連関と人々の多様性

研究課題

研究課題/領域番号 22K20050
研究機関宮崎大学

研究代表者

矢野 涼子  宮崎大学, 国際連携機構, 講師 (90968405)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2025-03-31
キーワードアメリカ領サモア / アメリカン・マウ / 反統治運動 / アメリカ
研究実績の概要

現在の太平洋諸島史において指摘されている、①西サモア以外の地域における現地住民の多様性と海外地域との関係が明らかになっていない、②支配/被支配の関係にとどまらない島嶼間の関係が捉えられていない、③独立に至っていない地域の事例が描かれていないという3つの課題を解決するために、本研究では、独立に至っていない地域の1つである、アメリカ領サモアにおける現地住民の多様性と海外地域との関係を、1920年代に断続的に起きた反統治運動である、アメリカン・マウの分析を通じて明らかにすることを試みている。
2023年度は、2つの作業を行った。1つ目は、アメリカン・マウに参加した人々の多様性とその不満、アメリカン・マウの再発/沈静化の特徴を把握することである。アメリカン・マウに参加した人々には、アファカシと呼ばれる「外国人」、現地の首長、貿易商人など様々な立場の人々がいた。アファカシはヨーロッパ人より低い身分と定められることに、現地の首長は税金のあり方とアメリカ統治下における不明瞭な任用、統治について、貿易商人は土地の所有と管理について、運動を通じて訴えを行っていた。また、アメリカがアメリカ領サモアの政治について提案や改善を行った後、アメリカが本質を伴わない提案をした場合、アメリカ領サモアの人々の提案や質問に対し明瞭な回答がなかった場合に運動が起こる傾向にあることが明らかになった。さらには、アメリカがアメリカ領サモアの現地住民の要求にこたえた場合と大きな改革の直後には、アメリカン・マウが沈静化する傾向にあることが分かった。
2つ目は、本研究を進める上で比較対象となる、西サモアのマウ運動(反統治運動)について「2つのマウ運動の比較考察――ドイツ植民地期とニュージーランド統治期サモアにおける運動の違い」を執筆し、『太平洋諸島研究』に投稿を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2022年度3月から2023年度4月にかけ、研究代表者は研究機関の移動を行った。また、2023年3月から2024年度4月にも研究機関の移動が生じた。年度の初めと終わりに、移動準備と研究環境の変化への対応の必要があったこと、また海外の公文書館において史料調査を行うにあたり、COVID-19の影響から当初の予定どおり調査を行うことができなかったことが遅れの原因である。

今後の研究の推進方策

当初2年計画であった本研究を3年計画に延長し、引き続き、研究を行う。2024年度には、史料調査を行い、これまでに看過されてきた運動の参加者や彼らの不満を明らかにする。また、西サモアのマウ運動との比較を行い、反統治運動により西サモアが独立に至った要因とアメリカン・マウが鎮圧という結果に終わり、アメリカ領として残り続けている要因を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

海外における史料調査ができなかったため

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 2つのマウ運動の比較考察――ドイツ植民地期とニュージーランド統治期サモアにおける運動の違い2023

    • 著者名/発表者名
      矢野涼子
    • 雑誌名

      太平洋諸島研究

      巻: 11 ページ: ―

    • 査読あり
  • [学会発表] 嘆願書が示す多様性――1920年代のサモアにおける反統治運動2023

    • 著者名/発表者名
      矢野涼子
    • 学会等名
      宮崎大学多言語多文化教育研究センター主催10周年シンポジウム

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公開日: 2024-12-25  

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