研究課題/領域番号 |
22K20094
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
SE NOO・RI 神戸大学, 法学研究科, 助手 (40962973)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | 災害の規模性 / 災害の法化 / 人為災害 |
研究実績の概要 |
論文実績①は自治研究で2023年6月から連載される。日韓の災害の法的定義の比較を通じて、災害の定義は国家によって可変的であり、何を国家が管理すべき対象として認識するのかはその国家の災害の経験に基づいている点を災害の規模性、人為性という軸に基づいて比較法研究を行った。 論文実績②は、角松(神戸大学) との共著であり、災害被災者支援に関する阿部泰隆(神戸大学名誉教授)の見解を分析した。填補(compensation)について、後ろ向きの「補償」(損失を補う)と前向きの「保障」(生活を社会連帯の観点から支援する)を区別し、個人補償が許されないという阿部の主張は保障まで否定するものではなくむしろそれを強調するものだという理解を示した。 発表実績③は、日本の災害と韓国の災難の法的定義の違い、それによって発生したCOVID-19の法的扱いの違いを英語で発表したものである。災害の変遷における災害概念の量的膨張の例として韓国の事例、災害概念の質的変化である災害の平時化(normalisation)の例として東日本大震災におけるi)原子力損害の賠償に関する法律第3条の解釈、ii)大川小学校控訴審判決、ⅲ)災害対策基本法 第二条の二第一号をあげた。 発表実績④は、2023年2月に行った韓国への現地調査で収集した資料を基に「韓国の被災者支援」について発表したものである。2022年10月27日に梨泰院で発生した圧死事故も韓国では「災難」として扱われ、 被災者支援のための措置を取るために 大統領が10月31日龍山区を 「災難安全管理基本法」に基づく「特別災難地域」を宣布した。この事例を通じて、日本の災害と韓国の災難の違い、そしてそれに伴う被災者支援の法的仕組みの違いについて分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年9月末に台湾の研究協力者である李佳穎氏(Aix Marseille大学博士後期課程) が来日して、 フランスの災害保険制度についての発表を聞き、共同研究として阿部(神戸大学名誉教授)、斎藤(弁護士)、津久井(弁護士)へのインタビューを行った。2022年10月末にはMichael Faure(Maastricht University教授)が来日して、災害のライフサイクルなどについての講義を聞き、被災者支援制度について意見交換を行った。 2023年2月には韓国で現地調査を行い、国立中央図書館、国会図書館で資料収集を、チョン・ナムチョル(淑明女大教授)、シン・ホウン(アジア女性研究所客員研究員)と意見交換をした。
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今後の研究の推進方策 |
論文実績①の公表を進めることに加えて、英語論文、韓国語論文を各一本ずつ完成させる予定である。 既に昨年度、Is COVID-19 a disaster? という英語論文を執筆し、Centre for Asian Legal Studies (CALS) 主催のシンポジウム発表原稿として投稿したが、残念ながら不採用となった。同論文をリライトして他のジャーナルに投稿することを計画している。 災害の規模性論に即して、韓国の「特別災難地域」宣布の問題点を指摘する韓国語論文も作成中である。災害の規模性に対する日本における批判を紹介し、韓国で現地調査で収集した資料も踏まえて問題点の分析を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
.予定していた人件費・謝金を積極的に活用しなかったことが次年度使用額が生じた理由であると思われる。今年度には積極的に人件費・謝金を積極的に活用する計画を立てている。
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